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相続税白書に思う

私は今、太平洋を南に飛行している中でブログを書いている。9時間の旅である。

 

国税庁は平成26年分の相続税の申告状況を発表した。平成26年1月1日~12月31日に亡くなった人は127万3004人で、過去最高だった前年の126万8436人よりも4568人増加した。少子高齢化の今、毎年毎年出生児が減少し、死亡者が逆に毎年毎年増加している。

 

相続税がかかる財産を残した人は5万6239人で前年の5万4421人より増加した。この数も毎年増加していて、平成27年からは基礎控除も4割減少したから、相続税課税対象者は8万人ぐらいになると予想する。そして相続税の納税者である家族の数は13万3310人となり、前年の13万543人より増加した。平成27年以降は20万人ぐらいになる。相続税はなにも富裕層だけがターゲットではなく、むしろ大衆課税になった。

 

国税庁によると、この5万6239人が残した財産の課税価額の合計は、なんと11兆4766億円で被相続人1人当たりなんと、2億407万円の遺産を有していたことになる。相続税額の合計は1兆3908億円で、1人当たり2473万円の相続税となっている。1人当たりの納税額は世界一ではないだろうか。

 

相続税がかかった人の遺産の中味を見ると、土地が41.5%、預金などが26.6%、株が15.3%となっている。家屋を入れると、不動産が遺産の半分と、相変わらず日本人はすぐに換金ができない財産を多く持っているが、株でも上場株式の保有が少なく、同族会社のオーナー株式が大半である。非上場株式の株など、ほとんど換金価値がない。現金、預金が相続財産の26.6%しかないのに、最高税率が50%、現在は55%となっている。相続人が受け取る遺産より国が持っていく遺産の方が多い現在、どうやって相続税額を払うのだろうかと心配する。

 

遺産は所得税や住民税を払って、蓄えた財産である。その課税済みの財産に今度は相続税が襲ってくる。二重課税もいいとこで、アメリカでは相続税のことをボランタリー・タックスと呼んでいるほどだ。日本は年々、相続税対策の手法が狭められている。今も話題にのぼっているのは都心のタワーマンションだ。これくらいはいいのではないか。アメリカは相続税対策の手法は山ほどある。金持ちにフレンドリーな国でもある。人口も3億数千万人いて、日本の3倍の人口で、金持ちも年間所得100億円以上が千人ほどもいる。日本では昨年、相続税がかかる財産を残した人が5万6239人と公表しているが、同時期アメリカでは、相続税がかかる財産を残した人は僅か4000人である。この現実を国はわかっているのだろうか?

 

 

☆ 推薦図書 ☆
ロン・フリードマン著 月沢李歌子訳 『最高の仕事ができる幸せな職場』 日経BP社 2,000円+税
企業の利益をいかに大きくするか、経営者の目標は第一にそれにあるといっていい。この著は従業員が幸せであれば、企業利益は増大するとしている。それでは従業員が幸せになるにはどうしたらいいのか。
幸せな職場を作るには、従業員に対する飲み食いや福利厚生などに金をかける必要はない。従業員が、最高の仕事ができるような環境を整えることである。それには次のようなことが必要である。
①失敗をすることを恐れさせない
多くの経営者、例えばスティーブ・ジョブズやエリック・シュミットなどは、多くの失敗の上に成功を収めている。従業員にはむしろ失敗を奨励することだ。
②勤務時間内に遊びを組み入れる
よいアイデアはリラックスしている時に生まれる。仕事中に遊びを組み入れると楽観的になり、柔軟な思考になる。
③モノよりも経験を与える
セミナーに出席させたり、旅行させたりする。経験の提供は、物品の贈与より大きな幸福感を与える。
④従業員同士が親しい友人関係になるのを手助けする
などなどあるが、従業員を称賛するのは公の場がよく、本人のみに与えたメールよりも数倍の効果があるとしている。

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