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ゴルファー、ミケルソン増税に怒る?

☆ 今週の推薦図書 ☆
浜田宏一×藤原正彦 『奇跡の日本経済復興論』 文藝春秋5月号 840円
ご存知、数学者の藤原氏と安倍内閣のブレーンでイエール大学名誉教授の浜田氏の対談であるが、日銀の今までの無策、つまり通貨供給量を増やさなかった罪を徹底的に論じている。リーマンショック以降、欧米は通貨供給量を大胆に増加させたのに比べ、日銀は増やさなかった。それがもとで、70円台という円高をもたらした。パナソニックやシャープが経営危機に陥ることになったのは経営者の判断の誤りではない。エルピーダメモリが倒産したのも経営者が悪いのではない。日銀の政策の誤りから円高になったせいであり、日銀によって倒産させられた企業は多い。浜田氏の教え子である白川氏を異常なまでこき下ろした対談である。

 

今年のマスターズではダメだったが、世界的に有名なプロゴルファー、ミケルソンが居住しているカリフォルニア州から出て行った。彼はランチョ・サンタフェという高級住宅地に住んでいて、私のLAのオフィスから車で2時間というところ。ここはカリフォルニア州でも4番目に所得が高い街で、住民の平均所得は2.6百万ドル(約2億4000万円)で、日本では考えられない。

ミケルソンが出て行った理由は、カリフォルニア州の住民投票で《Prop.30》という増税案が認められたからである。州税は、年収25万ドル(2400万円)以上は9.3%から10.3%へ、30万ドル(2900万円)以上は11.3%、51万ドル(5300万円)以上は12.3%、100万ドル(9800万円)を超えると13.3%となる。ミケルソンにとっては国税(連邦税)を加えると53%にもなる。米国人であるので、日本の社会保険料、国民年金に相当する保険を加えれば60%以上の所得税を課税されるという結果である。

アメリカではプロスポーツ選手は日本と比べものにならないくらい年棒が高いので、少しでも税金の安い州に住んでいる。州税がないフロリダ、ネバダ、テキサスに多くいる。タイガーウッズにしてもカリフォルニアで生まれ育ち、スタンフォード(カリフォルニア州)で学んだが、プロになったとたん居住地をフロリダ州オーランドに移した。実際ウッズは正直で、「税金対策のため引越しました」と言っている。

ミケルソンの昨年の所得税の申告書によると、年収は62百万ドル(約6億円)。内、スポンサー収入は53百万ドル(約5億1千万円)、主なスポンサーはKPMG、ローレックス、バークレー、キャロウェーなどである。スポーツ選手は年収が高いといっても、人生の限られた期間だけであり、そのため、その間に貯めるだけ貯めなければという思いが強い。

ほとんど報じられることはないが、世界の有名なプロスポーツ選手は、イギリスでプレーしないということをご存知だろうか。例えばテニスプレーヤーのナダルは、ウィンブルドン以外ではイギリスでは試合に参加しないと公然と言っている。100m競争の世界記録保持者、ボルトもイギリスでは走らないと言っている。

何故か。イギリスではスポーツ選手に対して、イギリスでの出場回数に比例して、その選手の全世界所得に対して10%課税するというもの。例えばボルトの昨年の所得は20.3百万ドル(20億円)だから、イギリスで10回走れば2百万ドル(2億円)課税される。

スポーツ選手のなかで、日本人ほど税金に疎い選手はいないと言われる。最近のサッカー、野球、ゴルフなど世界を舞台にする若い人も、税務知識を身につけないと、老後が心配になる。

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