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税金滞納者に払わせる方法。アメリカに学ぶ

トランプ政権下で、何とか財務長官にたどりついたSteven Mnuchinが公聴会の中でIRS(日本の国税庁)の改革について述べていた。ブルームバーグ誌によると、MnuchinはIRSの職員がここ数年減少してきており、さらに内部にテクノロジーエキスパートが欠如してシステム向上がはかられていない、その中でもサイバーセキュリティは大きなリスクであり、アメリカ人納税者の個人情報をいかに守るかも大きな問題であるとしている。

 

2010年以降、共和党が過半数を握るとIRSの予算の削減が継続的になり、2010年~2015年の間に職員数が16%も減り、しかもシステムの更新も行われず、IRSの予算も9億ドル(1000億円)カットされた。

 

MnuchinはIRSの強大化をうたっているが、共和党はもともとIRSの主張には否定的で、この前の大統領候補でもあったテキサス州議員のTed CruzなどはIRSの廃止を叫んでおり、また共和党の中でも更に保守的なThe House Freedom Caucusは、IRSのコミッショナーであるJohn Koskinenを議会に誤った情報を与えたとして罷免しようとしている。

 

それでもMnuchinは、トランプ大統領は“We add people, we make money”の原則をよく理解し、IRSの人員増を確保してくれると言っている。IRSは過去19年間で31%もの職員が減少しているので、1人当たりの仕事量は膨大なものになっている。実際このところ誤った課税が頻発しているので、IRSはMnuchinに大いに期待しているところである。

 

また、IRSでは2015年に議会で可決された“Fixing American’s Surface Transportation Act”が2016年からどう機能するか見守っている。この可決された法律とは、5万ドル(500万円)以上の税金滞納がある者は国務省(US State Department)がパスポートの発行拒否、そして取り消し、没収するというもの。アメリカ税法のSection 7345を読めば、IRSは税金滞納者を確認(Identify)及び認定(Certify)し、そのリストを国務省に報告し、国務省はそれらの滞納者のパスポート発行を取りやめるという法律である。

 

そもそも何でこのようになったかというと、2011年にGovernment Accountability Officeがある報告書で、滞納税を回収するためにパスポートを活用する手があると書いている。これは2008年に総額58億ドル(6000億円)の滞納者達でパスポートの発行を受けている者が22万4000人いると指摘し、その関連性から議会でこの法律が可決された。

 

IRSは滞納者の資産に抵当権を設定している。5万ドル以上の税金滞納者宛に、IRSはこの3月からLetter 508C(Notice of Certification your seriously delinquent federal tax debt to the State Department)を送付するとしている。

 

日本の場合を考えると、1兆円以上の滞納税金がある。特に消費税滞納者は預り金である。アメリカと同様、国税庁はその滞納者リストを外務省に送付して、何百万円かの税金滞納がある者にはパスポートの発行を禁止してはどうだろう。JTBなどのハワイ4泊6日といったパック旅行者は減るだろうが、国益にはなる。

 

 

☆ 推薦図書 ☆
川勝宣昭著 『日本電産永守重信社長からのファクス42枚』 プレジデント社 1,600円+税
著者は元日本電産取締役。彼が本社からグループ会社に派遣され、企業再建の要になったとき、当時永守社長から毎日のように送られてきた数百通にのぼるファクスの中から選んだものである。これはリーダーのあり方を「永守語録」とともに記している。
「当たり前のことを当たり前にやれる会社にせよ」
例えば営業部門での当たり前とは何か、営業マンの活動サイクルは、訪問→商品説明→引合→受注である。その最初の訪問における当たり前のこととは何か。アポをきちんと取って訪問しているか、2週間先までアポで埋まっているか。このようなことを考えると、個々の営業マン任せであることに気付く。このような日常管理面での管理項目を書き出すと、ノーコントロールに近い状態だ。「当たり前にやる」とは、当たり前のことを管理項目として整理し、これを会社全体で共有し、徹底させることである。語録には、この他「黒字化・再建は、1年以内に達成せよ」「見積もりは24時間以内に出せ」「訪問件数は月100件にせよ」など。経営者のテキスト本でもある。

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