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日本の消費税の不思議

日本の消費税率は今の8%から、来年10月に10%に上げると安倍首相が言った。メディアのトップニュースである。アメリカの消費税は州税であるから、州によってマチマチである。カリフォルニア州も知らないうちに消費税率が上がった。知らないうちに上がる、これは各州も同様である。税は皆、国民平等の負担だからである。ヨーロッパも同様で、いつのまにか20%を超えるようになった。ところが、日本は消費税率を1%上げるのにも、上や下への大騒ぎである。しかし、所得税率や相続税率の最高は55%へと、それこそ知らないうちなった。欧米とは全く真逆である。悲しいかな、日本人の性(サガ)は“ねたみ”である。税を公平に負担しようとする意志は全くなく、金持ちから取ればいいじゃないかと。そのために消費税は公平であるが故に、不公平だという。貧乏人も金持ちも、同じ1000円のモノを買えば80円の負担は不公平ということになる。金持は200円とか300円を負担せよ、である。

 

したがって政府は軽減税率なるものも設け、毎日の必需品である食料品に限っては8%を維持する。10%に上がっても8%。スーパーなどでは食料品は従来のまま、それ以外は全て10%。最近コンビニではイートインコーナーがあって、店で買ったものを飲食できる。そういうことだから、カップラーメンは食料品だから8%であるが、店で食べると外食になるので10%となる。そうなると、コンビニのレジで150円のカップラーメンを買うとき、「持ち帰る」というふりをして8%しか払わず、実際にはコソコソとイートインコーナーに行って食べる。それを見つけた店員が「差額」をくださいと言って3円を徴収しに行くのかと?

 

さらには財務省と経済産業省は消費税上げに伴う消費の落ち込みを避けるため、中小の小売店で現金を使わないキャッシュレス決済をすると2%分をポイントとして還元する施策を打ち出した。しかし中小小売店はクレジットカード決済ではクレジットカード会社にカード手数料を払わなくてはならないので消極的だ。したがって政府はクレジットカード会社に対して中小加盟店から受け取る手数料に上限を設け、3%以上手数料を取ってはならないとする措置を講ずる構えである。来年10月を挟んで、事はかなり複雑化する。

 

私も欧米各国消費税を見て研究もしたが、僅か2%を上げるのに2回も延期し、3回目でこれだけ多岐にわたって法整備しなければならない国をかつて見たことがない。複雑怪奇な消費税法である。選挙のためとは言え、これだけ富裕層以外に配慮している国を他に知らない。異常である。

 

 

☆ 推薦図書 ☆
渡辺順子著 『教養としてのワイン』 ダイヤモンド社 1600円+税
ニューヨーク・クリスティーズ、アジア人初のワインスペシャリストが教える、ビジネスパーソンが知っておきたいワインの歴史、知識などが満載。
「ワインはエリートにとっての最強ビジネスツールだ」(佐藤優)と言われるように、例えば、産地のフランスやイタリアだけでなく、英国のケンブリッジとオックスフォードでは60年以上にわたり大学対抗ブラインドテイスティング大会が開かれている。これは取りも直さず、日々ワインを嗜み、味や香りを覚え、畑やヴィンテージによる微妙な違いを学んでいるということだ。アメリカでもNYやLAの超一流ビジネスパーソンは、こぞってワインを学ぶ。ワインは単なる「酒」ではなく、世界で活躍するビジネスエリートが身につけておかねばならないソーシャルマナーだからである。ゴールドマンサックスの依頼で著者はNYのエリート社員にワインを徹底的に教えたそうである。そこでは「最上級のワイン」とはどのようなものかを覚えさせる。ワインに親しんでいるヨーロッパのエリートたちに気後れしないためには、何より「一流のワイン」を知ることが先決。「世界のトップと仕事を進めるには、左脳を使ったビジネススキルと右脳を使ったワインのセンスが必要」と言っている。確かにそうである。ビジネスでワインは人と分かち合うことで、よりその存在価値を発揮できる。日本人はまだまだ遅れている。ゴルフをビジネスに介在させているようでは、ますますNYやロンドンから遠ざかる。私も思う、今やビジネスは英語よりワインである。ホワイトハウスでは国賓を、晩餐会で出すワインによってランク付けしているのだ。ニューヨークタイムズでは、安倍首相の時は何々ワインを出したと社説で書くほどである。

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