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ふるさと納税、ついに規制

私は今、太平洋上空をアメリカに向かって飛んでいる。機上でのブログである。今年の税制改正に触れる。

 

税務上、所得税控除の対象となる「寄附金」とは、反対給付を伴わない寄附である。ところが、国が反対給付の「ふるさと納税」という寄附金を認めてしまった。国が悪い。したがって、高額商品をもらえるからといって、自分のふるさとでもない市町村に寄附をする。税金が安くなったうえに物をもらう。市町村のなかには、この制度を活用して赤字財政を立て直そうとする自治体も出てきた。

 

有名なのは大阪府泉佐野市だ。泉佐野市は市長が先頭をきって、幅広い品目、高返礼率を売りに多額の寄附金を集めてきた。2019年には、返礼品に加え、寄附額の最大20%分をネット通販大手のアマゾンのギフト券にして提供するキャンペーンを大々的に打ち上げた。こうしたことがふるさと納税の趣旨に反するとして、総務省や他の地方公共団体からも批判されたが、同市はどこ吹く風で、自粛する必要がない。高額返戻品を提供してPRするのは市の努力の結果であり、国が規制するものではないと息巻いている。そこで総務省は伝家の宝刀を抜き、税制改正法案を国会で可決させた。

 

改正内容は、ふるさと納税の本来の趣旨を歪めるような返礼品を送付する市について、寄附金控除の対象としないということ。
①対象となる市を総務大臣が指定する
②返礼品の価格を寄附金の30%以下とする
③返礼品は、市の地元産品または市が提供できる役務に限定する

 

これによって、当然泉佐野市は外されるが、この法律の施行は今年6月1日からである。高額返礼品を期待するのは5月一杯ということになる。返礼品期待の者は急ぐ必要がある。

 

 

☆ 推薦図書 ☆

野口悠紀雄著 『平成はなぜ失敗したのか』 幻冬舎 1500円+税
日本人は、前の世代が築いた日本社会を世界の動きに合わせて変えていく責任をもっている。その意味から、平成の時代は前の世代の遺産を発展させることができなかった。もっと言えば、この30年間は世界経済の大きな変化に日本経済は取り残されたのだ。
1990年はじめバブル経済が崩壊し、株価も急落したが、このような現象は一時的だと受け止められ、まだまだバブル的な気分は続いた。こうしたなか、中国や新興国の工業化、ITなどが目まぐるしく進歩した。アベノミクスは日本経済を成長経路に乗せたと言うが、失敗に終わった。現在の企業の売上高は2013年と変わらない。また、GDPを押し上げるには、実質消費が成長しなければならないが、黒田日銀総裁の異次元金融緩和が始まった2013年と変わらない。
問題解決には、金融緩和や円安ではなく経済構造を変えなくてはならない。労働力不足への対処や新しい産業の創出などである。

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