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世界プロスポーツ選手、所得番付の不思議?

Forbesが恒例のプロスポーツ選手の所得上位100人を発表した。

The World’s Highest-Paid Athletes 上位10人は、1位がテニスのFedererで120億円、2位がサッカーのRonaldoで115億円、3位がサッカーのMessi 113億円、4位もサッカーのNeymar 105億円、5位がバスケットボール、ロサンジェルスレイカーズのLebron James 97億円、6位 同じくバスケットボールのCurry 82億円、7位もバスケットボールのDurant 70億円、8位 ゴルフのTiger  Woods 69億円、9位 アメリカンフットボールのKirk Cousins 67億円、10位がアメリカンフットボールのCarson Wentz 66億円。

以上がベストテンだが、ボクシングではTyson Furyが11位で63億円、野球ではWestbrookが12位で61億円、F1レーサーではHamiltonが13位で60億円、ゴルフのMcllroyが14位で57億円となっている。いずれも世界に名だたるアスリートである。

彼らの稼ぎは大きく分けて2つあり、選手として試合で稼いだカネ《Salary, Winnings》と企業のスポンサーシップやコマーシャルなどの《Endorsements》である。アメリカの4大スポーツである野球、アメリカンフットボール、バスケットボール、アイスホッケーのスター選手は何十億円も稼ぐ。たくさんの選手がベスト100に入っているが、稼ぎの大半は選手としての契約報酬である。

ただ、バスケットボール選手は、スポンサー収入などEndorsements収入と半々かそれ以上である。ところが、ゴルフやテニスの多くのスタープレーヤーは、Winnings収入はわずかで、ほとんどがEndorsements、つまりコマーシャル収入である。タイガーは収入の内3%しか獲得賞金がない。テニスのフェデラーは1位だが、彼でさえ賞金獲得が総所得の6%しかない。反対に、サッカーのメッシやロナルドなどは70%が年棒である。

そうするとゴルフやテニスでは強くて人気があれば、獲得賞金をはるかに上回る広告収入が増える。テニスでは全英オープンなどでベスト8に入れば世界中に中継され、その身につけているものが広告宣伝塔になる。ゴルフも最終日に優勝争いにでも加われば、マスターズなどでは世界中深夜であろうが早朝であろうが、見ている人は億人単位でいる。日本オープンやジャパンテニスでは、テレビの前にいるのは日本人だけであろう。ANA、JAL、ユニクロなどスポンサー企業にとっては百万人単位と億人単位との差である。

このように、日本人で日本国内だけでプレーしている選手は、たとえサッカー、野球、テニス、ゴルフのスーパースターであっても、総収入は、せいぜい数億円が限度である。ましてや世界的にマイナーなバドミントン、卓球選手は収入から考えると、むしろ可哀想である。その点、日本人大リーガーやヨーロッパでの日本人サッカー選手、ゴルフの松山、テニスの錦織などは稼ぐ単位が違う。

ちなみに、錦織は昨年故障などもあって1勝もしていないが、ランキングでは世界35位、年間所得は3,730万ドル(41億円)で、彼が勝てないジョコビッチ(33億円)、ナダル(29億円)を上回っている。

世の中には稼げるスポーツと稼げないスポーツがあることはよくわかる。自分の子に幼児教育の一環として習わせるスポーツは、アメリカのようにスポンサーがつきやすいもの、収入が多く見込まれるスポーツを選ぶ親が日本でも増えるのではなかろうか。

☆ 推薦図書 ☆
リチャード・ウィルキンソン/ケイト・ピケット共著 川島睦保訳 『格差は心を壊す 比較という呪縛』 東洋経済新報社 2,800円+税
格差社会、富裕層と貧困層の所得格差を言うが、この不平等は貧しい人だけではなく、裕福な人にも影響を及ぼす。先進国では、開発途上国よりも心の病の発症率が高い。不平等社会では、社会的地位が人間の優劣を示す指標として重視されるため、社会的評価や地位への不安が増大する。
そして、自尊心や社会的地位を維持しようとすればストレスが高まる。他人と自分を比べて挫折を感じる一方、世間に対して成功していると見せかけようとする。こうしたストレスの高まりから、薬物やアルコール、ギャンブルなどにはまり込み、抜け出せなくなる。また、うつ病や不安障害が広がり、自分の価値をアピールするための自己顕示的な消費が増え、経済的にも負担を強いられる。この本はこうした現代社会の現実、つまり「実力主義」を排除して、「生活の質の改善が実現できる未来」にどうして取り組むかを述べている。

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