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来年度税制改正、在日外国人に吉報

毎年恒例であるが、来年度税制改正が公表された。コロナ禍の折、管内閣初めての税制である。
100兆円を超える赤字国債の発行を余儀なくされての税制改正であるので、当然減税は見込まれないと思ったが、住宅ローン減税を拡充、ベビーシッターの助成金、デジタルトランスフォーメーション(DX)の投資を促す減税措置を盛り込み、増税項目はほとんどなかった。しかし私が最も注目するのは相続税の改正項目である。
日本の相続税の最高税率は55%、基礎控除は4800万円。先進国では群を抜いて税が高い。たとえ外国人でも日本での滞在時間が過去15年以内で通算10年を超えると、海外資産にも相続税がかかる。過去に私が知っているアメリカ人が日本で亡くなったが、彼の生まれ故郷であるニューヨークの不動産にも相続税がかかり、これに該当する外国人は自国の財産も日本の相続税の対象になる。理不尽なことである。そのため「Never Die in Japan」なる合言葉までできた。従って外国の富裕者のみならず、富裕者ではない者も4800万円で線を敷かれると、自分がもっている全世界財産が、日本の相続税の対象となる。アメリカでは10億円が基礎控除である。彼らでは考えられないことであろう。ために優秀な頭脳を持った外国人は日本には来なくなった。国家的損失である。
今回の改正で相続税の課税免除要件から一定の在留資格を持つ人材を対象に滞在期間を撤廃し、外国人の長期滞在者の相続税の負担を取り除いた。政府はこれで「日本で死ぬな」は取り除かれ、優秀な外国人を取り込めると判断した。しかし、これはない。年4000万円の所得を超えると所得税率は55%だ、優秀な日本滞在外国人の年収は、ほとんどこれを超える。アメリカなどと比較すると所得税は高すぎる。これも是正しないといけない。つまり日本は富裕層に対しての課税が高すぎるのである。優秀な日本人はシリコンバレーで働く。政府もそ れを自覚しているのなら、個人課税を見直さないといけない時期に差し掛かっているのである。日本人も外国人も優秀なものは税に敏感である。

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永濱利廣著 「経済危機はいつまで続くか」コロナショックに揺れる世界と日本 平凡社 880円+税
経済はヒトとカネとモノで動く。リーマン・ショックの時は、カネの部分がダメージを受けた。そのためアメリカはカネの流れをよくする政策をした。新型コロナウイルス感染症の場合は厄介だ、パンデミックになったためカネではなく、ヒトとモノが動かなくなった。
これらの教訓から、今後世界と日本の経済は、収益重視から安定・安全重視の方向にシフトする。リスクを避け、企業は設備投資を控え、家計も金を使わなくなる。その結果過剰貯蓄となり経済は効率は落ちる。低金利が続きマネーは資産市場に向かい、バブルが起きやすくなると。

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