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相続税白書から学ぶこと

皆様、明けましておめでとうございます。
年末年始、日本国はコロナ、コロナで明け暮れし、我がロサンジェルス事務所はコロナ、山火事、そしてトランプで翻弄された昨年でした。
昨年末、国税庁は相続税白書を公表した。それによると、1年間に亡くなった人、138万人、そのうち相続税がかかる財産を残した人は12万人、その相続人で相続税を納めた人が26万人で、納めた相続税額合計2兆円としている。先進国では群を抜いた数字だ。ちなみにアメリカなどは2千人ほどだ。
相続税がかかった財産種別では、土地家屋の不動産は6.6兆円、預貯金5,6兆円、株式等2.6兆円、
其の他2兆円、合計で16.7兆円である。一方、相続税の税務調査が1万635件行われ、追徴課税の件数は9072件、実に9割が不正申告していたことになる。注目すべきは海外関係の調査である。その実地調査件数1008件、申告漏れ149件である。不正申告割合は14%と少ない。私は、そんなことはないだろうと思っている。何しろ海外に預金口座を持っている人は何万人もいるが、確定申告で5000万円以上持っていると申告した人は9000人だといわれている。日本の税務署では海外の財産や所得を調査をするにはあまりにも限界があるからだ。
ただしCRS情報があって海外に金融資産を持っている人の情報はOECD加盟国で共有しているので、今や、「そこに○○さんの口座がありますか」とシンガポール当局に問い合わせれば、日本の国税当局にすぐに、回答が来る。2年前からできた制度。ただしアメリカは未加入だ。
国税庁の公表では相続税の脱税事案を紹介している。まずシンガポールに家族名義の預金口座を作り、そこに多額現金を送金し、そのまま数年後に亡くなった。隠し預金総額13.6億円。また逆に香港に多額の預金があったが生前日本に送金、そして現金化し、銀行の貸金庫に分散保管、それが見つかった件、金額は7.8億円(相続税の調査まで貸金庫にそのまま保管していたようだ)
このような結果から学ぶことは、多々ある。まず海外送金については、すべて税務当局は把握していること、現金で隠すのは税逃れの常道だが銀行の貸金庫は税務調査の際、無力であるという事。である
そして新型コロナでの政府の財政支援、すべて赤字国債での補填である、この回収は税収をもってするので、相続税、所得税は今最高税率は55%だが、これは明らかに上がる。富裕層の税対策はその者の自己責任。富裕層の資産防衛が今後試される。

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