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海外からのコロナ帰国者、確定申告で混乱

令和2年分の確定申告期限が3月15日から4月15日と一か月延びた。しかし今年の確定申告での異変は、コロナ禍で海外から一時帰国した者が、その一時退避が長期間に及び、未だに日本にいるというアメリカ企業に勤める日本人、日系人が多くいることが分かった。シリコンバレーなどに勤める日本人などは、半年以上日本にいてリモートで仕事をしている。確定申告において、日本人は2種類ある。「居住者」か「非居住者」かである。これによって全く申告が異なるのである。所得が多い者ほど、非居住者は有利になる。20.42%の源泉分離課税で所得税・住民税が完結するのである。累進課税はない。それでは、コロナ禍で結果的に長期間日本滞在を余儀なくされている一時退避者はどうなるのか。(私のアメリカLAの友人も数人昨年5月から帰国している)。日本の「居住者」の定義は生活の本拠がどの国にあるかどうかで判定する。日本にある場合には日本居住者となる。コロナ一時退避者も家族連れで帰国しているだろうから、立派な日本居住者となり、所得に対して20%の源泉分離だけでおさまりそうもない。しかも1年以上日本滞在なら有無を言わさず、日本居住者である。しかし、いつ終わるかわからないが。感染が収束すればLAに戻るのであればという事で、(日本の国税庁は沈黙していたが)。OECDが「コロナウイルス感染症の影響による一時退避者は生活の本拠地を移動したものではない」と宣言した。このため、いくらコロナ禍が長引いても、この確定申告では「非居住者」として日本で申告できることになった。このOECDの発表を、もっと国税庁は、何万といる一時退避者のために公表すべきである。
ただし、コロナウイルス感染症の収束が見通せないため、赴任を解除した場合は、その赴任を解除した日から、日本の居住者になる。気を付けたい。

☆ 推薦図書。
高樹のぶ子著 「在原業平 恋と誠」 日本経済新聞社 850円+税
伊勢物語は、以前に林真理子の本を読んだが、高樹のぶ子は又違った観点から業平を見ている。だいたい教科書に出てくる伊勢物語、主人公の平安の歌人・在原業平は通俗には、光源氏などと並び貴族のプレイボーイ的なイメージが強い。著者は、業平はけっしてそういう遊び人ではなく、間違ったイメージが千年以上も語られてきたことに、異を唱えたのである。業平は多くの女性とつきあったが、女性好きは、西鶴の好色五人男のような人物とは全く異なるとしている。天皇になる血筋であったのを、自らが絶ち、「みやび」に生きた高貴な男の人間力を、数々の恋や男たちとの交流から解き明かし、思うにまかせぬことを、愉しみながら時代を生き抜いた業平の生涯は、時代の転換期を生きる我々に多くの気づきを与えてくれる。リーダーに不可欠な、女が信じ、男が頼る人間力とは何かを、小説を通して著者が訴えかけている、その人間力は、コロナ禍のなか、一国の首相にも必要ではないかと思わせる。

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