Wall Street Journal によると、長寿の秘訣は、睡眠をよく取る、運動をする、健康的な食事をする等健康的な習慣を身に着けるということは確かに長寿に貢献するが、それは90歳まで、90歳を過ぎてまで生きるとなると、遺伝子が最も影響すると、医学界の調査で判明していると伝えている。
中には、正しい食事をして運動をしていれば、150歳まで生きることが出来ると豪語する人もいるが、医学専門家は、それは全く正しくないと指摘している。90歳まで生きる能力は、その人の遺伝子が25%関係しており、100歳までとなると50%、106歳くらいまでになると75%遺伝子が関係してくると指摘している。
アメリカでは現在100歳以上の人口は2023年では約109,000人いるとされ、10年前の65,000人から大幅に増加している。アメリカでは2021年に平均寿命が76.4歳に下がったものの、人口の約20%は、もし健康志向を継続していれば、100歳まで生きることが出来る遺伝子を持っているとしている。100歳以上生きている人たちは、長生きするだけでなく、癌、痴呆症、循環器疾患を通常の人より長くかからないようである。ある統計では、15%はEscapersとされ、100歳時点ではっきりとわかる病気はなく、43% とDelayersと言われ、80歳以降まで、加齢に関係した病気はないとされている。
今までの研究によれば、いくつかの遺伝子が複雑に絡み合い長寿に関係しており、中でもアポリポタンパク質E、e2と呼ばれる遺伝子は、アルツハイマーから守る遺伝子で長寿に関係しているとされている。100歳以上まで生きるとなると、長寿に関係ある多くの遺伝子が必要になってきて、DNAの損傷を修理するような保護的な何かを提供しているのである。もし、あなたが、どれくらい長生き出来るかに興味があれば、あなたの親類がどれだけ長生きをしているかを見ればある程度分かるとしている。
遺伝子が長寿に与える影響は大きい一方、長生きと軽い運動、教会へ行く等社会活動、軽いカフェインやアルコールの摂取の関係を調査している研究者もいる。この調査によると、80歳以上で認識力が20-30歳以上も若い人たちと変わらない人たちは、人間関係が大変良好で温かい信頼関係を築いており、また、特に90歳を超える場合には楽観的な人が多いという調査もある。但し、この長寿はアメリカ社会保障システムに多大な負担にもなっており、2032年までに基金の底が尽くと予想されており、アメリカ政府も長寿を簡単に喜ぶことが出来ないようでる。これは日本も同様か。
☆ 推薦図書。
野口友紀雄著 「プア・ジャパン 気がつけば『貧窮大国』」 朝日新書 950円
著者は元大蔵官僚、アベノミクスと黒田日銀総裁が行った大規模金融緩和10年の日本の凋落ぶりは激しい。一人当たりGDPでみると、2012年にはアメリカと同水準、現在はアメリカの3分の1、2000年は一人当たりGDPがG7でトップだったのが今は最下位。そして台湾や韓国に抜かれる。日本衰退の基本的な原因は日本の経済・社会構造が世界の大きな変化に対応できなかったことだ。高度成長という成功体験のために経済・社会構造が固定化してしまった。物価は上がったが賃金は上がらない、これからも実質賃金は上がらない、円安が続くので日本円の購買力は戻らない。しかも人口高齢化で年金財政は悪化の一途、2040年には厚生年金は破綻する。解決策は、日本は高度専門家を確保できるかである。人材不足がこうなった。アメリカでは高度技術者の年収は今や2億円である。日本の大学に期待するのは無理である。厳しく書いてあるが現実だろう。