外国人が日本で報酬を得ても20%の源泉徴収税額で済む。もちろんこれは日本の非居住者だからだ。しかし2年を超えて日本の居住者となることが決まっている場合は、居住年から日本人と同様の所得税を課せられる。日本のプロ野球には多くのアメリカ人の助っ人が多くいる。彼らは何年も日本にいるが、日本の非居住者である。なぜなら結果として日本にいるが、契約では働くのは1年と決めている。つまり所属球団との契約では複数年契約ではなく単年度契約であるのだ。これは外国人の節税のテクニックである。日本では55%の税金がかかる。これは先進国で断トツであるのは外国人もわかっているので、だれも日本居住者になりたくはない。何十年前もからの慣習である。阪神タイガースのバースなどすべて元大リーガーは日本非居住者であった。ところが今回東京国税局は何人かのサッカー選手について申告漏れを指摘したのだ。
いまや、野球選手に限らず、サッカー選手、ラグビー選手、バスケットボール選手など多数の外国人選手が登場している。しかし今回の東京国税局の指摘は、外国人サッカー選手は日本居住者と断定した。今までは外国人サッカー選手の球団からの支払いを非居住者として20%の源泉徴収だけ済ませる慣習があったが、最近ヨーロッパから引き抜く際の条件として、複数年契約を結ぶケースが増え始めた。複数年契約は2年にまたがり日本にいるのだから、立派な「日本居住者」に該当する。今回ガンバ大阪や名古屋グランパスなどが国税局から指摘を受けたが、引き抜かれる外国人選手は「手取り」で報酬を契約するから、今後は報酬額は上がるかもしれない。国際税金無知のコストは高い。
☆ 推薦図書。
近藤正規著 「インド グローバルサウスの超大国」 中央公論新社 1078円
2014年からモディ政権になった。インドの政治・経済・外交・社会はどうなのか?日本人には考えられないが、インド人には「出身地、言語、宗教、カースト」の4つで人が規定される。中でも重要なのはカースト制度。これらの制度はさらに細分化されるが、結果は世襲的な職業に結び付き婚姻関係にも影響する。
インドは世界5位のGDPを誇る。長所は人口の3人に1人は中間層で内需が活発であるが短所は製造業がGDPの15%と極端に低い。しかしインドは格差が深刻で貧窮層と富裕層の格差に加え、
男女格差、イスラム教徒への抑圧問題も大きい。インドの外交は伝統的に非同盟中立としているが中国、ロシアに近い。アメリカには信頼度が低く、西側陣営に加わらない。今後の日本としてのかかわりはどうするのか