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アメリカIRS、税金滞納者のペナルティ10億ドル(1500億円)を免除

ウオールストリートジャーナル(WSJ)によれば、アメリカIRSは昨年12月に税金滞納によるペナルティ(加算税)を免除すると発表し、その総額は10億ドル近くになると言われているが、IRSは何とか税金滞納分の回収を図りたいという意図もある。アメリカでは2021年及び2022年での税金滞納者は何と460万人に上るが、パンデミックにより、督促状通知をやめたことも回収が遅れている原因とも言われている。督促状が届いていないからと言って、未払いの税金が消滅したわけではなく、その間も延滞税及びペナルティがどんどん増えていくことになる。
今回のペナルティ免除の対象者は、日本では考えられないが、2021年及び2022年の申告で10万ドル(1500万円)未満の税金を負うもの、且つ2023年12月7日以前に未払い残高があるという通知を受取っている必要があるが、2024年4月1日までに未払いの税金を納めない場合にはこの救済は無効となるものである。IRSは利息を法律により勝手に免除をすることは出来ないが、ペナルティは出来る。IRSの現行の延滞税率率は8%で日本と異なり、毎日複利計算される。一方、ペナルティは毎月の未払残高に対し0.5%、もしくは年利6%、最高利率25%となっている。日本の制度にはないが、IRSの返済計画に加入した納税者は毎月の利率0.25%もしくは年利が3%に減額される。
IRSは延滞税金に対する自動通知はやめていたが、取り締りは継続していた。IRSは限られたケースではあるが、抵当権設定の通知をしたり、5万9000ドル(9000万円)(2023年度)を超える税金の延滞がある場合には、今までパスポートの取消しを行う通知をしてきた。特に高収入納税者や資産家で25万ドル(3700万円)以上の税金の延滞のある納税者に的を絞っているようである。
IRSは延滞税金残高がいくらあるかを通知するSoft Notice、抵当権設定をほのめかす通知、更にはFinal Balance Due Reminderと大文字で書かれ、抵当権を付ける準備にかかるという通知、今すぐ未払い税金を払えというような通知までくると、事態はかなり深刻ということになるのである。この場合、自分自身でIRSと直接交渉して解決という方法もあるが、アメリカでは専門家に依頼することが多い。その場合は税金係争専門のCPAや弁護士の依頼することになる。IRSには10年ルールという規則があり、税金回収には10年の期限がある。10年を超えると税金延滞者の延滞税金残高はIRSの記録からなくなる。しかし、10年間もIRSから税金の支払いを避けることが出来るのかだが。日本も同じだが、IRSから音沙汰がないようであっても、たいてい8.5年目に突如延滞納税者に資料をだせ、とか延滞分を全て払えとなるケースが多いようである。どの国も税金支払いから、逃れるのは難しい、国家権力を相手に勝ち目はないようだ。

☆ 推薦図書。
大江英樹著 「お金の賢い減らし方」 光文社 840円
最近、私のクライアントから「お金を寄付したいのだが、どこがよいか」「投資をしたいのだが、何がよいか」など富裕層の金遣いの相談が時々ある。この本は「お金の本質」を掴んで、人生後半を豊かに生きる。90歳までに使い切るをテーマに書かれている。人はなぜお金が好きか、「お金は増やすより使う方が楽しい」、元来日本人は「嫉妬」の論理である。昔から「隣に蔵が建つと、私は腹が立つ」この妬み根性が、お金に対する見方や考え方につながっている。働く日本人の9割は給与所得者であるから、サラリーマンの成績によって多少格差が生まれるが、それほどの差はつかない。差がつくのは勤め人で、親から膨大な遺産を相続するか、株で大儲けするかである。仕事で差がつくのはあきらめがつくが、このようなことで差がつくのには嫉妬がつく。富裕者は自分の知らないところで妬まれている。それならばお金を使おう、それも人のためにお金を使えばいいのである、その方法を書いた本である。

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