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外国人サッカー選手、脱税か

3月22日、朝日新聞の1面に「イニエスタ選手ら申告漏れ、日本の居住者と判断」と見出しが躍った。さすが国税に強い朝日である。この記事に関しては、私のコメントも朝日新聞に掲載されたので、このブログでも書く。昔は外人プロ野球選手が多かったが、今はサッカー選手の方が多い。日本で所得税を納税、つまり確定申告しなければならないのは日本の居住者であり、日本の非居住者は本国で申告するので、クラブは20%の源泉のみで済む。日本人サッカー選手は最高55%の税金がかかるのに、有利な話である。たとえ外国人が本国で申告したとしても日本のように55%の税率がかかるわけでもなく、日本で源泉徴収された税金を本国で差し引いてくれるので、日本居住者選手より税負担が少ない。
しかし外国人選手が「非居住者」とみなされるには条件がある。①チームとの契約は1年未満契約 ②家族を連れてこない。ただし旅行気分で訪れるのは可 ③年末、オフシーズンは帰国する。が原則である。今回摘発されたのは、ヴィッセル神戸のイニエスタ選手の8億6千万円、セレッソ大阪のキムジンヒョン選手の7億4千万円、サンフレッチェ広島のパトリック選手の6億4千万円である。イニエスタ選手は2年目から複数年契約となることから日本居住者として申告していたが、1年目も日本居住者として認定されたため巨額の追徴となった。この3人の共通点は家族同伴で日本に来たことであった。つまり税法上、生活の拠点は日本にあると判断された。何日、外国にいたらとよく言われるが、日数に関係はない。仕事している場所と生活の本拠である。昔、メジャーリーグにいた有名投手が日本の球団に誘われたとき、私のところにきて、帰国するが日本に税金を払いたくないないのです、どうしたらよいですかと問われた。彼はグリーンカードホルダーだったので、私は、タイガースに来るのなら、日本で自分の家を持つな、家族は帯同するな、シーズンが終わったらさっさと帰れ、とアドバイスした。その通りに彼はしたので助かった。
今回の脱税事件は、まさに「無知はコスト」である。この脱税事件は税法に無知な選手をクラブが守らなかったことだろう。

☆ 推薦図書。
中川浩一著 「ガザ」 幻冬舎 1056円
著者は元外交官である。現在ハマスとイスラエルの戦争で大変である。なぜパレスチナ問題は解決できないのか、ガザの面積は東京都23区の3分の2である。そこに230万人のパレスチナ難民が住んでいる。ガザはイスラム国家樹立を目指すハマスが支配している。イスラエルとパレスチナが一応和解したのが1993年だ、しかしイスラエルのラビン首相が暗殺され和平交渉が中断した。その後米国のクリントン大統領がイスラエルのバラック首相とパレスチナ解放機構のアラファト議長との3者会談を行ったがアラファト議長の反対で合意できなかった。2000年にはパレスチナ陣の民衆蜂起がおこり、それに対してイスラエルが強硬手段を取り、パレスチナ人の死者が増えるというように泥沼化した。今回も結論といえば、イスラエルとパレスチナ双方が、あらゆるレベルでの信頼関係・共存の意思を欠いていることであると。著者が言っている。

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