このほどSNS型投資詐欺や特殊詐欺の被害救済を目的としての活動で。弁護士名義を無資格者に使用させたとして、警視庁捜査2課は、弁護士で元衆議院議員の今野智博容疑者を弁護士法違反(非弁提携)の疑いで逮捕した。今野の法律事務所は2024年3月までの6か月間に、900人から着手金名目で合わせて5億円を受け取っていた。事務所はウエッブサイトで「詐欺被害の返金請求手続きは弁護士にお任せください」として、相談にきた客に法律事務を行う際、弁護士資格がない事務所スタッフを名乗っていた29歳から51歳の男女10人に自身の弁護士名義を使用させたというもの。これが発覚したのは皮肉にも警視庁の特殊詐欺の捜査の過程で名義貸しが浮かんだというものだ。
一方東京都杉並区南荻窪の記帳代行会社の社長は税理士資格がないにもかかわらず法人・個人の確定申告を請け負っていた。この件はニセ税理士をやっている者がいるとのタレコミからである。警視庁捜査2課が調べた結果2019年からの3年間で、約300件の依頼を受け、その報酬として1億3000万円を得ていた。かなりの報酬額である。税理士の平均年収750万円から比べると、相当な腕利きニセ税理士であるが、当然無資格者であるので申告の法定代理人になることが出来ない、従って本当の税理士の名前を借りなくてはいけない。この名義を貸した税理士は無資格者から2500万円のピンハネ料を受け取っていたというのだ。無資格者による税務書類の作成や無資格者にたいする名義貸しは税理士法第52条に違反し、違反すると懲役2年以下または100万円以下の罰金となる。しかしこの両事件とも日本の国家資格者である弁護士や税理士である者の方よりも、ニセ者の方が、はるかに本職よりも多額の収入を得ているのがわかる。弁護士も税理士も資格を取ってしまえば、あとは事業者(事務所開設)になるか、勤め人になるかである。事業者になれば商売をしなければ成り立たない。何も一般事業者よりも偉くはない。国が資格取得を狭き門にしたため、日本の国家資格取得者は「先生」と呼ばれ。したがって他の商売人よりとは異なるという、勘違いした「先生」がたが多い、そして事務所は「火の車」。行き着くところは、安易な「名義貸し」、法を犯した方法でも金儲けにはしる。国は国家試験合格率をもっと高め、アメリカ並みにしないと、国家資格者の自尊心は治らない。今のままだと「先生」がたの「武士の商法」は、いつまでも続くのではないだろうか。
☆ 推薦図書。
和田秀樹著 「飲んではいけない薬とサプリ」 かや書房 1430円
著者は今や有名になった医師であり、このブログでも何冊か取り上げた。この本は危ない薬とサプリから、その安全なやめ方、そんな薬やサプリが出回る医療界の闇まで徹底暴露している。小林製薬の「紅麹サプリ」問題は社会を揺さぶった大事件になったが、これを機会にサプリや薬の処方を見直すべきである。年をとると、代謝機能が落ち、薬が体内に存在する時間が長くなり、副作用が出やすくなる。加齢とともに接種に気を付けなければならない薬やサプリ、なぜそんな薬などを医者が使うのか、医師の程度の低さが余りあるうえ患者がそれを感じない。危ない薬やサプリの過剰摂取の背景にある大学病院、医師会、製薬会社、病院やクリニックの営利関係など、様々な日本独特の医療背景を鋭く斬った書である。痛快である。