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トランプ氏第47代米国大統領に選出されるが、その後は?

今回のトランプ氏の勝利には、NYタイムズなどアメリカメディアは、返り咲いて再度大統領になるのは100年以上ぶりでHistoric Comebackだという一方、犯罪人が大統領になるのは歴史上初めてだ、Make America Hate Againと叫ぶ人も大勢いると伝えている。しかし勝てば官軍である。これは世界中の昔からの常識だが、政界ほどこの言葉がよく反映される世界はない。接戦と言われていた今回の大統領選挙だが、蓋を開けてみると、意外とあっさりトランプ氏に決まった。本来民主党の支持層である労働階級、マイノリティがトランプ氏支持に回り、これが大きな民主党の誤算であったようだ。特に、黒人やヒスパニック系の男子有権者の多くはトランプ氏を支持したようである。副大統領時代のハリス氏は何も実績がなかったのも大きな要因である。
このトランプ氏の勝利を受け、アメリカでは株式市場は高騰、長期金利は上昇、為替もドル高となっている。この背景には今後のトランプ氏の経済政策や移民政策が絡んでいるものと考えられる。ウオールストリートジャーナル(WSJ)によれば、中国嫌いのトランプ氏はまずは中国に対する関税を60%以上課し、その他の国には10-20%の関税を課すと言っている。これが本当に実施されれば、1930年代以来の高関税率となる。これにより国内インフレが高まり、ドル高円安は避けられない状況となった。
また税金面でも2017年のTax Cuts ad Jobs Actでは大幅な減税が行われたが、この税法は日本の租税特別措置法でいう時限立法である、従って多くの減税項目が2025年で期限切れとなる。トランプ氏は減税政策を維持したいとしており、もし維持される場合、今後10年間で5兆ドル(750兆円)の財政赤字になる計算である。更に、彼は法人税率の引き下げ、Social Securityやチップ収入を非課税にするとも言っており、これにより4兆ドル(600兆円)の赤字になると試算されている。WSJによれば、直近の財政赤字は1.8兆ドル(270兆円)となっており、トランプ氏が最初に大統領に就任した8年前と比べ、3倍に膨張している。アメリカメディでは、これではインフレ懸念は拭えず、長期金利の高止まりが予想されると言っている。
更にトランプ氏は、何百、何千万人もの不法移民を即刻国外退去させると言っている。これが本当に行われば、明らかに米国労働市場は逼迫し、これもインフレ要因となる。農業から建設現場に至るまで不法移民に依存しているアメリカ、実際、白人なんかは農作業なんかしない。それらの労働を不法移民から取り上げるとすると、今後大きな問題になる。今回の選挙ではインフレにより生活に困窮する有権者や大量の不法移民流入に嫌気をさした有権者がトランプ氏に票を投じているので、これらの問題にどう取り組むのか注視が必要である。また彼は過去に国境に壁を作りその費用はメキシコ政府に支払わせると言ったが、結局米国民の税金で全て賄った。今回のトランプ氏は、再び、言うは易く行うは難いという結果になるのか、いよいよトランプ劇場の第二幕が始まろうとしているが、日本政府の対応は、いまだ全く見えない。トランプ大統領はある意味単純なところもあるので、彼の唯一の趣味であるゴルフにうまく付き合える者が彼を操れるのではと思う(笑)。

☆ 推薦図書。
ムスタファ・スレイマン/マイケル・バスカー著 上杉隼人訳 「THE COMING WAVE AIを封じ込めよ」 日本経済新聞出版 2420円
世界の歴史を見ると、帝国や宗教の盛衰、人類、経済の盛衰において一連の「波」が起きている。キリスト教もイスラム教も始まりは小さな波紋だった。それが、やがて地球上に大きく広がり巨大な津波となって物事を変化させるきっかけとなった。現在の小さな波紋は、人工知能AIと合成生物学(バイオテクノロジー)という2つの中核技術が存在する。この2つのテクノロジーの波は「封じ込め(管理し、制限し、止めること)が特に難しい」「計り知れない可能性と慎重な警戒心とのバランスが必要」という問題を抱えている。例えば特定のプログラムや遺伝子の組み換えなど、たった一つの事で世界の全てを変えてしまう可能性がある。このようなことから、強力な封じ込め策を講じなければ大惨事が起きる可能性が高くなる。ハッキングや誤作動が起きた場合、AIが様々な分野でどのような障害や被害をもたらすかは分かっていない。大惨事を防止するには、テクノロジーを厳しく管理するしか方法はない。それは、権力を一極集中させ人々の生活を厳しく管理するということである。

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