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まさかのバイデン大統領の恩赦と減刑

退任まぢかのバイデン大統領の恩赦については、12月12日、非暴力犯罪で有罪判決を受けた39人への恩赦及び1499人への減刑が発表された。1日での恩赦及び減刑数はアメリカでは過去最高と言われている。驚くことにバイデン大統領は絶対に恩赦しないと言っていた、銃購入及び所持で既に刑事裁判2件で有罪になっていた自分の息子ハンター初めに恩赦し、物議をかもした。しかし、今回の減刑の対象となった女性Rita Crundwellに対しては、ハンターよりも更に物議を呼んでいるとForbesは報じたのである。日本ではほとんど報道していないが。
このCrundwellは、シカゴから西へ100マイルほどにある人口15,000人のDixon市で1983年から市職員として働き始め、財務及び会計の部長まで上り詰め、30年近く働いていた。ところが2012年に5370百万ドル(当時60億円)にわたる横領をしていたことが発覚し、解雇された。横領されたお金の多くはサラブレッドよりも小ぶりのAmerican Quarter Horseの繁殖及び飼育につぎ込まれており、年収8万ドルの市の給与ではやっていけるわけがない。
彼女の手口は、簡単なもので、市の口座であるかのような銀行口座を開設し、彼女が唯一のサイナーとなり、架空の請求書を偽造、年間250万ドル(3億円)を一度にDixon市から送金されていたのである。市の予算は毎年8-9百万ドル減っていたにも拘わらず、誰も気づかず、不足した予算は、緊急医療サービス等の予算を削り凌いでいた。CPAの監査法人も毎年監査していたわけだが、毎年市の財務諸表に問題ないと署名していた。後に市はこの監査法人と銀行であるFifth Third Bankに対し訴訟を起こし、裁判の後、和解している。
この事件の発覚のきっかけは、Crundwellが長期のお休みをしている間、代理に会計部長がダミーの口座があることを発見し、市長に報告し、Crundwellは2012年に逮捕され、解雇されている。Crundwellの逮捕後、彼女の資産は、400頭にも及ぶ馬を中心にオークションにかけられ、1238万ドル(15億円)が回収されている。今回の事件は、イリノイ州史上公金の最大の横領事件とされている。
Crundwellは19.5年の実刑判決を受けた、アメリカでは、出所するには、その85%の刑期を終える必要があり、仮釈放はあり得ない。ところが、パンデミック中、トランプ前大統領が署名し、発効した2020年のCARES Actで、非暴力犯罪者は刑務所ではなく家で刑期を終えることが出来るとして、2021年に家に戻った。これにより、実刑判決19.5年の内8. 5年しか収監されていないのである。今回のバイデン大統領の減刑に対しては、市長はホワイトハウスからも何の連絡もなかったと不満を表明している。市長はバイデン大統領による今回の減刑は、Dixon市がせっかくこのスキャンダルから立ち直りかけ、市財政も改善してきた矢先で、過去の悪夢を思い出させるような嫌がらせ行為だと批判している。バイデン大統領は、トランプ氏が大統領選挙で勝利したことで、急速に影が薄くなり、今アメリカでは誰が大統領なのかわからなくなってきている。バイデン大統領の恩赦はこれからも大統領任期中はまだ続きがあるようだが、このような理不尽な恩赦や減刑をすることで、自分の存在を示そうとしているのかもしれない。老害である。

☆ 推薦図書。
和田秀樹著 「『せん妄』を知らない医者たち」 幻冬舎新書 940円+税
もしあなたが5種類以上の薬を処方されて飲んでいたら医者を変えた方がいい。なぜなら複数の薬を飲むことによる恐ろしい副作用があるからだ。例えば、頭がぼんやりしたり、幻覚に襲われたりする「せん妄」がある。2019年東京池袋で起きた自動車暴走死傷事故、当時87歳だった高齢ドライバーが信号2つ無視して横断中だった母娘2人が犠牲になり11人の死傷事故があった。原因は90近い高齢者がブレーキとアクセルを踏み間違えたで片づけられたが、そうではない、原因はパーキンソン病の治療薬の副作用によって起きた意識障害ではないかと思われる。通常高齢者はノロノロ運転になりやすい。普段からブレーキとアクセルを踏み間違えながら運転はしていない。統計からいうと一番事故率が高いのは20歳代である。通常認知症になればおのずと運転はやめる。
薬には飲むと運転をしないでほしいという「運転注意薬」と「運転禁止薬」がある。パーキンソン病の薬はこれが多い。また他の病気でも薬には意識障害が運転中に起きるのが多い。したがってあなたが今飲んでる薬は、必ず医者に「今飲んでいる薬は運転をして交通事故を起こしても危険運転致死傷罪にならないか」を問うようにしないと、医者の自覚が目覚めない、としている。

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