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遺言について考える

今、ロサンゼルスからの機内で書いている。ANA5便に乗っているのだが、落ちるとは思っていないが、今回は遺言について考える。

 

最近、遺産の取得をめぐっての争いが多く、兄弟間で弁護士をたて、法廷にまで騒ぎが発展するのは、年間1万件を超える。そのために遺言を残しておくことが必要だといわれはじめた。日本では死後10か月以内に相続税の申告・納付をしなければならないが、それまでに遺産分割協議書も整えなければならない。したがって、相続人間でもめていると間に合わない。無申告加算税や延滞税など余分なお金がかかる。

 

遺言を残しておくとその心配がないというが、遺言そのものが遺留分を侵害していたり、無効だと訴えられると、裁判はゆうに10年を超える。また、日本の法律では遺言できる事項は10項目に限定されており、それ以外の事項は法的拘束力を持たない。例えば「兄弟仲良く」「墓はどこどこに」とかである。

 

ウォール・ストリート・ジャーナルに載っていた記事だが、全米で大ヒットしたテレビ番組「The Sopranos」(1999~2007年)、日本でもWOWOWで放映されたらしい。その主役James Gandolfiniが今年、心臓発作で51歳の若さで亡くなった。彼の相続人だが、前妻との間に14歳の息子がいて、最近結婚した妻との間に1歳の娘がいる。遺言があって、娘にはイタリアにある家を、ニューヨークにあるマンションは息子に、残りの遺産については、妻、娘と自分の姉妹に分配するとあり、さらに娘への20%の遺産は信託していて、受託者は、妻、姉妹の1人、及び弁護士となっている。

 

しかし、この遺書は将来問題が起きる可能性が高いと専門家が指摘している。それは、第一の問題は子供たちに差別的な遺産となっている。息子には高額な生命保険信託を作っているが、娘にはない。アメリカでは、最初の結婚から生まれた子供たちは、再婚で生まれた子供たちを血筋が半分で一人前の兄弟と認めない傾向があり、しかも最初の結婚で生まれた子供たちは、両親の離婚による怒りが残っているという。

 

そこでアメリカの専門家は遺言を残す際、法律上何の効力もないが「Ethical Will」または「Legacy Letter」なるものを残すように勧めている。日本も最近は離婚、再婚を繰り返す者もいるが、筆者も同感である。

 

それは死亡時におけるあなたの考え、夢、望み、希望を表現するようなものであることが望ましいとされていて、具体的には、子供が生まれた瞬間や子供の誕生日の感想、子供と旅行をしたときの思い出や、子供と過ごしたホリデーなど。自分がいなくなった後、どのような人生を送ってほしいか、などをよく考えて書き残し、少なくとも年1回は更新するのがよいとしている。そのようなことを書き残すことで、残された家族は遺産分割に対して、納得できる分割が非常に多くなるという。

 

日本も対岸の火事ではなく、「エンディングノート」が流行りつつあり、ますます死後のモメごとを事前に回避する風潮が高まり、安心して突然死ねなくなっている。ウォール・ストリート・ジャーナルではないが、Boy Scoutのモットーを知っているか。「Be Prepared」だ。人生終わりまでその通りだと感じた。

 

 

 

☆ 推薦図書 ☆

アラン・ピーズ/バーバラ・ピーズ著 藤井留美訳 『話を聞かない男、地図が読めない女』

主婦の友社 700円

桃太郎の話では、おじいさんは山へ芝刈りに、おばあさんは川へ洗濯にとある。この本は男と女の脳に関する分析を行っている。

男と女の違いは、大昔、人間が洞穴で暮らしている時代に遡る。男は命がけで外へ出かけ、食べ物を手に入れた。女は洞穴の周辺に、危険ではないが子供の世話をしながら、同じ群れの女たちと一緒に生活をしていた。したがって女の脳は、おしゃべりを通じて人間関係を作ることを最優先していて、1日平均2万回もコミュニケーションとしての言葉を発する。女の話は遠回しで、回りくどい。なぜなら、女が巣を守る者として、対立や不和を避けて相手と親しくなる必要があったからである。

また、女が悩みを抱えていると気づいた男は「大丈夫か、心配事があるのか」と尋ねても、女が「ええ、大丈夫よ」と答えると、男はそれ以上突っ込まない。しかし、女の言葉の裏には「私のことを愛しているなら、もっと詳しく聞いてちょうだい」という意味が込められているという。

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