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富裕層直撃第1弾 来年度税制

一般の個人事業者は毎年、前年の所得を3月15日までに税務署へ申告する。収入から費用を差し引いた所得額を決定し、それに扶養控除やら何やら控除して所得税額を算出する。欧米でも同様の事が年中行事として行われる。アメリカなどでは少しでも所得があると、4月15日までにIRSへ申告する義務がある。サラリーマンとて同じである。

 

ところが日本のサラリーマンだけは確定申告が不要である。年2000万円以下なら「年末調整」で済ませられる。この制度は「収入-費用」の費用、つまりサラリーマンの必要経費は年収に応じて決められていて、例えば年収800万円のサラリーマンは必要経費(所得控除)が200万円と決められていて、差引所得額が600万円となる。同僚とのつきあいや、本代など必要経費は年間200万円と認めている。欧米などはサラリーマンに会社が通勤交通費を支給しないし、自らが交通費や自家用車のガソリン代、減価償却費を計算してIRSに申告する。

 

サラリーマンのこの所得控除は年収と共に多くなる。当たり前である。部下の結婚式の祝儀でも、平社員と社長では包む額が違うからだ。ところが来年度(平成26年)から消費税率が上がるのに合わせ、富裕層により一層の負担を求めるという合言葉の下に、年収2000万円超の会社役員は、このサラリーマンの必要経費である所得控除が減らされる。現在、年収1500万円超の場合、所得控除額が245万円である。仮に年収4000万円でも所得控除は245万円、年収800万円でも200万円、どうも腑に落ちない。所得控除=必要経費ではないのは明らか。

 

政府は低所得者に負担が大きい消費増税を控え、高所得者には応分の負担を求めるとした。何も高所得者が消費増税をしたわけでもなく、高所得者も同じ消費税を払うわけだが、高所得者にはもっとペナルティが必要というわけだ。政府は来年から年収2000万円を超える役員は、年収が増えれば増えるほど所得控除額が減るようにし、年収3000万円なら一般社員の4分の3、年収4000万円超なら一般社員の2分の1しか所得控除が認められなくなる。

 

こんな税制では、先進国からソッポを向かれる。国は経済特区を作って外資を誘致だとか、優秀な外国技術者を呼ぶだとか方針を立てているが、これでは高年俸の外国人は来ない。逆に高所得者に優遇措置を与えないと国内の優秀な人材も日本を去る。この高所得サラリーマンへの課税強化。そのうちカルロス・ゴーンもサヨナラするかもしれない。

 

 

☆ 推薦図書 ☆

副島隆彦著 『税金官僚から逃せ隠せ個人資産』 幻冬舎 1,575円

笑えるタイトルではある。著者はこの本は、日本の資産家たちを守るために書いたとしている。財務省や国税庁職員のことを「税金官僚」の公務員と呼び、赤字国債の借金まみれの国になって税収が足りないから、税金として取る。彼らの言うことを聞いていたら、富裕層の財産は本当に消えてなくなる。そうならないために海外にキャピタルフライトするべきだ。海外送金は足がつくから、自分でカネを持って出ろという。さらに預金封鎖に備えて、できるだけゴールドの現物を買って家に隠せという。かなり過激な内容だが、富裕層には読む価値がある。

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