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復興税、江戸時代と今

東日本大震災からの復興を図ることを目的として、復興施策に必要な財源を確保するための措置として、復興特別法人税(所得税も)が創設された。法人税は3年間、法人税額の10%、復興特別所得税は所得税の2.1%を25年間賦保するというもの。

 

ところが先日、新聞に被災地の自治体が何と3兆円も使い道のない予算が余っているという。寄附金も含め、お金だけが集まったが、消化できないのに口から食べ物を流し込んでいるのだ。筆者は必要なときに必要な予算措置すればよいのではないかと思う。日本という国は先の戦時下でも、一般家庭から金品を拠出させ、結局はそれを使わずに終わったが、さすがに安倍内閣は3年の特別法人税を1年前倒しで終了させると公表した。所得税も同様となるだろう。

 

東日本大震災とは異質だが、宝永4年(1707年)富士山が大噴火した。新井白石の「折たく柴の記」によると、「白石が家を出ようとすると、雪が降っているようだ。しかし、よく見ると、それは雪ではなく火山灰だった」とある。11月22日のことであったが、その灰は12月末まで降り続け、その原因は富士山の噴火によるものであり、武蔵、相模、駿河の三国の田畑を埋め尽くし、皆、降灰のため咳に苦しんだ。積灰は今でいう50㎝に及んだという。

 

徳川幕府の予算は天領からの年貢で賄い、臨時に必要なときは、藩主を指名して拠出させた。ところが、江戸時代初めてである全土に出された均一の税、これは全国の大名に命じて出したおふれ「国役金令」という税であった。この税は100石につき2両、この結果全国で40万両の税収があったという。この金で降灰を除去したが、除去費用は16万両で済んだという。余った24万両は何に使ったかというと、江戸城の北の御所の新築に費やされたという。

 

全国の大名はどう思ったであろう。現在を重ねるなら、一般国民は復興にどれくらいかかるか知るよしもないのに、税金だけは取られる。政府は使途等のきちんとし説明責任をしなければなるまい。

 

 

☆ 推薦図書 ☆


渡辺淳一著 『いくつになっても 陽だまりの家』 講談社 1,100円+税


日本経済新聞社の「私の履歴書」にも連載したが、まじめな著者の人生、集大成である。

生まれて100日目、母はある占い師に著者の将来を見てもらったという。その時のご託宣によると、唯一留意すべき点は「女難の相」があるということであった。本人の恋愛遍歴もさることながら、戦争をはさんでの多感な青春時代の心の移り変わりを、80歳を過ぎた著者はまじめに書いている。戦争を全く知らない我々には靖国神社問題など、ある意味では全て理解できないことであると実感した。

 

 

 

 

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