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オーストラリアの増税、について日本は学ぶべきである

オーストラリア政府は、来年2015年7月1日から法人税率を28.5%に引き下げるとした。日本も30%を切る税率にすると安倍首相は公約した。但し、日本はその財源を法人、個人の双方に求め、個人の所得税や相続税は来年からかなりの増税である。オーストラリアも個人の所得が18万ドル(豪ドル、日本円で1700万円、以下同じ)を超えると、2%の追加課税(Temporary Budget Repair Levy)をするとしているし、Medicare Levyの2%を加えると、18万ドル以上の所得には47%(日本は来年から50%、4000万円超は55%)となり日本とたいして変わらなくなる。

 

年金の掛け金(Superannuation Guarantee Rate)にしても、今年7月1日から9.5%へとアップ、さらに2018年7月1日からは毎年0.5%ずつアップし、2022年から12%となる。また2013年7月1日以降に払い込まれた退職年金拠出限度額オーバー部については47%もの課税。2014年7月1日以降、熟年労働者の税額控除(Mature Age Workers Tax Offset)を廃止するし、配偶者控除(Dependent Spouse Tax Offset)も同様に廃止するとしている。

 

オーストラリアでは、このように所得税の増税は凄まじいものがある。オーストラリアの本年の財政赤字予想は499億ドルであり、GDPの3.1%としている財政がGDPの1%で黒字化するのは2024年と予想している。現在、オーストラリアの、いわゆる赤字国債はGDPの12%(日本はGDPの200%に達している)であるので、国民に税負担を求めた。日本のように3%の消費税上げで、マスメディアは狂ったように報道したが、外国ではこのようである。静かである。国民は当然のように受け入れている。

 

しかも、このほど、国税庁、アメリカのIRSに相当するオーストラリアのATO(Australian Tax Office)は2014年7月1日から国民に増税した分、個人所得税の納税者宛に、受取った増税分をオーストラリア政府がどのように使ったかを示すTax Receiptを発行するとしている。これは、日本は見習わないといけない。

 

税を介して国民と向き合う姿勢の違い。日本の税務署はたくさんの税金を納めた人に対しての感謝が足りない唯一の先進国であると思う。

 

 

☆ 推薦図書 ☆
伊丹敬之著 『よき経営者の姿』 日本経済新聞出版社 800円+税
よき経営者とは何か。著者は次の三つを挙げる。(1)深い素朴さ、(2)柔らかい強さ、(3)大きな透明感。これら三つの特徴を持っている典型的なのが、松下幸之助、本田宗一郎である。そして、その経営者に共通する資質は次の三つである。(1)エネルギー水準の高さ、(2)決断力、(3)情と理、特に情と理は、ビジネス社会では、カネ、情報、感情の三つが同時に進行しているからであるとする。
しかし、これらの必要条件を充分満たす経営者でも失敗がある。それは経営者の「退き際」である。権力の移譲など、今まで華々しかった経営者が失敗するのは退き際である。多くの経営者はそうであるとしている。

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