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国税庁、超富裕層プロジェクト発足

日本の国税庁は、昨年の相続税調査の結果、海外財産の申告漏れ件数は113件に増加、5年前の89件からみると3割アップ、しかも課税価格は26億円にものぼることを重視し、今後も起こり得る海外財産移転申告漏れを防止することを意図して「超富裕層プロジェクトチーム」を東京国税局、大阪国税局、名古屋国税局に発足した。

 

今年から海外に5000万円超の資産を持つ者は「国外財産調書」を税務署に提出しなければならなくなったが、その国外財産調書の全国での総提出件数は5539件、その国外財産の総計は2兆5142億円と国税当局は公表した。その調書を提出した者の地域別では東京が3755件で全国の7割近くに及び、以下大阪が638件、名古屋が457件と3地域で全国の9割近くになる。特に東京が断トツで一極集中気味であるが、日本では東京、大阪、名古屋に富裕層の9割が集まっているのでこのような超富裕層PTを発足させたとしている。また、国外財産の総計2兆5千億円の中身はと言うと、有価証券が1兆5603億円と全体の62%を占めていて断トツ、次いで預金が3770億円(15%)となり、土地は821億円と全体の3%にすぎない。

 

以上の国税庁の公表についてコメントしたいが、5000万円超の国外財産を保有している人は1億3千万人国民のうち僅か5539人だろうか。国税の職員さえもおかしいと言っている。アメリカIRSが1万ドル以上の国外預金を持っている者をあぶり出し、ウソの申告をしたなら、預金残高以上のペナルティを課すとしていてもほんの一握りしか申告しない。日本で保有する国外財産に所得税の申告漏れが生じた時は、提出した調書にその資産の記載があれば過少申告加算税がなんと5%減額される。至れり尽くせりの制度である。仮に国外財産調書に申告していなくても5%プラスだけである。アメリカのように預金残高を超えるペナルティーなどない。これでは、まともに申告しない超富裕層が多いのは当たり前である。

 

私は職業柄、税務調査に立ち会うことが多い。海外を絡めた事業には必ず立ち会うことにしている。私から国税局に敢えて苦言を呈したいのは、国税局職員の海外に対しての税務知識が極めて薄学である。海外税務の調査は語学力はもちろんのこと、海外税務知識もさることながら、海外の文化も熟知していなければならない。日本の税務調査を考えればそうである。今や、東京国税局管内の税務署には、どこも「国際課税部門」なる部門があるが、私と会ってみると「奥村先生、私らは名前だけ国際で実際は何も知らないんですよ」という反応があまりにも多い。私は、せめてアメリカ担当なら、MBAぐらいは取得した者でないと、今後の調査では納税者の方が一枚も二枚も上ということになりかねないと思うが。

 

 

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中西輝政著 『日本人が知らない世界と日本の見方』 PHP研究所 600円+税
筆者は京都大学名誉教授で政治学者、私の好きな学者の一人でもある。第一次世界大戦は国が国民をだます戦争であり、民主主義国家イギリスは自国が負けていたにもかかわらず、イギリスは勝っていると報道し、後の第二次世界大戦の日本の大本営発表のごとくであった。そしてドイツが敗れ、戦勝国は莫大な賠償金をドイツに求めた。その結果、そんな賠償金など払えるかというヒトラーを国家元首に国民が選ぶ結果となった。ヒトラー誕生も、イギリスなど戦勝国にも大きな責任がある。第一次大戦後、ウソをつく国など要らないとする反国家主義が目覚め、共産主義革命が起こり、共産主義に対抗する上で国際連盟が生まれたが、今と違い常任理事国に拒否権がない。拒否権がないと脱退や戦争が起こりやすくなる。国際政治学は今やアングロサクソンは大したことはない、故にEUは発展しアメリカからの自立を果しているのだと。

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