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日本のEXIT TAX、アメリカよりも厳しい

本年7月1日から海外に移住しようとする日本人で有価証券を1億円以上所有する者は出国時に、その有価証券(上場株式、非上場株式、さらに未決済デリバティブ取引等を含む)を時価で売却したとして所得税等を支払って出国せよという法がこのほど可決した。この出国課税はアメリカと異なり、日本国籍を持たない者でも過去10年以内に5年超日本に居住した外国人も対象となる。しかもサラリーマンでも海外赴任者となる者もその対象となる他、留学で日本の非居住者となる予定の者も適用となる。

 

日本のこの制度がアメリカやヨーロッパの同制度と大きく異なるのは、日本の出国課税は、出国の理由を問わないことである。非適用者は「前10年以内に居住期間が5年以下である外国人」であり、それ以外は全て適用対象者である。そうなると外国人も対象となり、アメリカ人など外資の企業で働いている者も東京では多いが、彼らが帰国する際、自分の所有する有価証券を出国時に精算しなければならないとなると、大きな問題を引き起こす可能性がある。

 

そして最も大きい問題は、この課税対象者は「出国の理由を問わない」ことである。親から相続した株式などを所有した者が海外赴任する場合なども適用される。例えば、今のトヨタやパナソニックなどの御曹司が海外に赴任する場合など、全株式を出国時に時価で売却したとして譲渡税を支払ってから出国せよということである。もっとも株式を担保に納税猶予の制度があるが、取得価額が低いだけに膨大な税金になろう。さらには、政府も奨励しているアメリカやイギリス留学の際にも、富裕層の子弟にはこの問題が生じる。法によれば「国外において継続して、一年以上居住することを通常必要とする」者はすべて日本の非居住者となるので、ワーキングホリデーでカナダやオーストラリアに行く者も対象となる。

 

これらの者は、まず、脱税を目的として海外に赴くわけではないのは明白であるが、江戸時代の鎖国ではあるまいし、このようなペナルティとも言える規制を出国者に課せるのもいかがであろうか。アメリカのEXIT TAXは明らかに税逃れを意図した者だけが対象であるのだが。

 

 

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