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丸源ビル社長ついに脱税で逮捕

☆ 今週の推薦図書 ☆

大前研一著 『クオリティ国家という戦略』 小学館 1,575円
日本という国は、いまだに20世紀の工業国家モデルを引きずっている。21世紀に入り、それではどうすればいいかを提示する書である。
現在世界で繁栄している国は、大きく分けて2つのタイプがある。一つは《ボリューム国家》。人口、労働力のボリュームと低コストの人件費を強みとして経済成長している。これらの国は、ブラジル、ロシア、インド、中国などである。
もう一つは、人口は少ないが世界からヒト、モノ、カネや企業、情報を呼び込む吸引力があるスイスやシンガポール。日本がお手本にするのはスイスなどである。スイスの国際競争力が強い理由は次の3点である。
1点目は、国が企業を支援しない。
2点目は、クラフトマンシップ(職人芸)。スイスは時計などを作る専門職が農民であり、しかも社会的地位は高い。
3点目は、移民。移民が新しい産業を興す。
日本がクオリティ国家になるためには、このように規模を小さくし、アジアのスイスを目指さなければいけない。と著者は言う

 

東京銀座と出生地の九州小倉の、いわゆる飲み屋街で数多くのビルを所有する「丸源ビル」。その丸源ビルが20億円を超える所得を隠したとして、東京地検特捜部はこの会社のオーナー社長を逮捕した。

脱税の手法は、ビルに入居する飲食店などからの家賃収入を計上しなかったり、関係会社に自社のビルを売却したとして売却損を計上し所得を隠した、私に言わせれば実に古典的手法の脱税である。しかし、飲食店を相手に賃料収入を除外する手法は、実はオーソドックスなやり方である。なぜなら、家賃を支払う側の飲食店はそもそも、まともな帳簿をつけ、税務署に確定申告する者が少なく、1~3年程度で店をたたむ者が多いため、実態を把握することが困難でもあるからである。したがって、丸源ビルオーナー以外でも、脱税が横行していると思われるが、その脱税の証拠を掴むのは至難の業かもしれない。

では、なぜ丸源の社長が捕まったのか。私は約半年前、このブログでMビル社長が脱税で逮捕されるであろうと書いた。銀座のMビル社長と書けば、東京の人はわかる。ブログで特定の人の逮捕予告を書いたのは初めてだったが、結果はその通りとなった。

なぜかと言えば、彼は昭和60年代にアメリカ、カリフォルニア州の首都サクラメントに、なんと1200軒の一戸建て賃貸住宅を建設し、手広く事業を展開した。そして、ハワイ。昔はハワイアンオープンといわれたゴルフツアー、青木功が日本人で初めて優勝した大会で、今はソニーオープンと名を変え、1月下旬に行われる。このゴルフ場はハワイきっての名門、ワイアラエカンツリークラブ。日本人でゴルフ好きなら、ここでプレーしたいと願っている人は多いと思うが、この8番ホールの前にあるのは故盛田氏(ソニー創業者)の別荘である。時価20億円とも言われる。超一等地の住宅地で、かつて石原裕次郎の別荘もあったカハラ地区である。そこに丸源社長が買った別荘の価格は、当時50ミリオンドル、つまり50億円である。

アメリカ当局は、多額の資金流入に対して常に神経を研ぎ澄ましている。疑うのは、麻薬やテロ資金などの、つまりマネーロンダリングである。しかし、調べるとどうもそうではない。そうすると、それだけの所得がアメリカで申告されていないということで、日本の国税当局に問い合わせ、調べた結果、このような結着になったということである。

税務調査は、会社設立後3年から4年後に来る。したがって、会社を設立して2年で会社をたためばわからないという考えで、新会社を設立しては閉鎖しての繰り返しであった。原点から振り返れば、ハワイに50億円の豪邸を購入しなかったら、今回の逮捕はなかったかもしれなかった。優秀な国際税理士がついていなかったのかもしれない。

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