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遺留分制度の民法改正、やっと変わる相続の風景

私は今、太平洋上である。揺れる。しかしパソコンは途切れ途切れであるが、打てる状態である。

 

遺留分制度というのがある。これは親が遺言で「この息子には、一銭の遺産もやらない」と書いても無効である。民法でいう法定相続分の2分の1の遺産を取ることができる。例えば、10億円の遺産があって、長男、長女しか相続人がいない場合、親がすべての遺産を長男に継がせると遺言しても、長女の法定相続分は2分の1、そしてその2分の1が遺留分であるから、遺産の4分の1、つまり2億5000万円分を相続する権利があるというもの。フランスでは遺留分のことを「親にかわいがられなかった子の最後の権利」と呼んでいる。確かに、この法はフランスから来ている。

 

今、日本で世間を騒がせているのは、日本大学のアメリカンフットボール事件だけではない。和歌山の大金持ちの、77歳で亡くなった老人のこともだ。紀州のドンファンと呼んでいるそうだ。新婚で、妻の年齢は22歳。彼は今まで一生懸命働いてきたのは、若い美人の女性を抱くためにだと。確かに日本では、大富豪の老人は艶福、ドンファンと呼ばれ、貧乏人の老人は単なる「スケベ爺」と呼ばれる。彼は全財産を愛犬に譲りたかったそうだが、一旦、籍を入れた配偶者がいると、日本ではたとえ、一日だけの夫婦で、次の日、夫が死んでも、長年連れ添った妻と遺産の取得権は変わらない。遺言が出てきても、遺留分を堂々と主張できる。

 

この遺留分を巡っての裁判事例は枚挙に暇がない。民法上の相続財産は税法の相続財産と異なり、亡くなった時に有していた遺産だけではない。生前に贈与した財産も含まれるのである。裁判では、お互いこういうのを持ち出すのである。例えば、40年前に長男が留学するとき多額の現金を与えた、裏口入学の際これだけ払った。長女が嫁ぐとき持参金を与え、さらにマンションの頭金まで出したとか……。こういう合戦が続くのである。

 

このように、現行で遺留分の基礎財産に含める贈与の期間制限はない。改正案では、この遺留分の基礎財産に加算するのは、死亡前10年間に限定することになった。弁護士の仕事は減るだろうが、これでかなりスッキリする。何十年前の贈与をほじくり出し、調停、調停を繰り返し、10数年争っている事案が少なくないが、やっと法務省が腰を上げた格好だ。最も問題だった同族会社の事業承継、後継者に自社株を贈与すると、その評価は優良企業ほど驚くほど高い。したがって、他の相続人から遺留分の侵害だとするケースが後を絶たない。

 

改正後はできるだけ早く、後継者に贈与することだ。そして10年以上経って亡くなれば、遺留分の侵害とはならない。

 

ちなみに、相続人以外には遺留分の基礎財産に含める贈与の期間は、わずか死亡前1年間。愛人などに多額の贈与をして持ち逃げされる事件が相次ぐことは必至だ。

 

 

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定年後の人生後半戦を幸せに生きる極意。40歳を過ぎると訪れる「心の定年」、しかしそれでも人生の後半戦を輝かせて生きるための「7法則」を書いている。退職後はすべてを自分で決めなければならない。サラリーマンはこれに戸惑う。今までの人生を変えるには3年はかかる。これを3回繰り返すことで自分の土壌ができる。従って50歳から始めなければならない。会社を辞めて初めて気づくのは、曜日感覚がなくなる。生活リズムも乱れる。そして、主人在宅ストレス症候群になる妻。サラリーマンは社会と触れ合うのは会社を通してで、辞めてから初めて自分自身で社会と接しなければならないことに気付く。家族の厄介者にならないための7法則を伝授。このブログでも紹介したが、「終わった人」(内館牧子著)が映画化されるそうで、この手の本がこれからますます出てくるようである。

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