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超スーパースター、レブロン・ジェームズがロサンゼルスに移籍、アメリカ最大の関心事は税金

アメリカNBA(プロバスケット)でCleveland Cavaliersの超スーパースター、レブロン・ジェームズがLos Angeles Lakersに移籍するという、ショッキングなニュースが先週末全米に流れた。レブロンはバスケでは王様扱いで、またの名をキング・ジェームズとも呼ばれているぐらいだ。Los Angeles Lakersは最も金のあるチームで、金にものをいわせて引き抜いたという噂だが、ロサンゼルスは沸いている。

 

ジェームズは8年前にもCleveland CavaliersからMiami Heartに移籍し、Dwayne Wade, Chris Boshと組みNBAのチャンピオンになった。ここまでの経緯では、ジェームズはマイアミのあるフロリダ州に、当然のことながら住んでいたので、住民税のないフロリダ州で何の住民税の心配もなかった。

 

ところが、カリフォルニア州のロサンゼルスに移籍するので、13.3%の住民税がかかることになる。この住民税の高さに嫌気がさして、ゴルフのミケルソンなんかは、カリフォルニア州を逃げ出したほどだ。他の州と異なり、カリフォルニア州で住民税を納めなければならない者は、1年間のうち何日カリフォルニアに住んでいたかで決まるのではなく、日本のように、居住する場所があるかどうかによって判定する。つまり家族がどこにいるかによって決まる。

 

ジェームズの契約は4年間で1億5400万ドル(170億円)、初年度3570万ドル(40億円)である。ところが彼はマイアミでの選手時代も、ずっとOhio州のAkron市の自宅を住所地として登録していた。住民税は無税ではなく、無税のフロリダ州ではなかった背景は、彼のオハイオとの結びつきが強かったからだろうと言われている。これは、彼が慈善団体の多くをオハイオに作っていることからもわかる。

 

このようなことから、ジェームズがカリフォルニア州のチームに入っても、依然としてオハイオの自宅を住居として登録することが予想される。一応、オハイオ州のアクロン市での住民税の計算をすると、オハイオ州の住民税の最高税率は4.997%、アクロン市が2.5%なので、彼の所得に7.497%が課税される。カリフォルニア州での非居住者として登録した場合、アメリカの税法では、(野球も同一だが)レイカーズの地元ロサンゼルスでの練習及び試合日数分をたして、365日の按分計算が行われる。ジェームズの場合、チームからの報酬の他にスポンサーからの広告料が年間5000万ドル(60億円)あるとされている。

 

カリフォルニア州も黙っているわけではない。ジェームズは既にカリフォルニア州に自宅を購入し、試合もプレイオフにでも出れば年間10か月はカリフォルニアにいることになる。そして家族もロサンゼルスに住み、子供もロサンゼルスの学校に通うことになれば、完全にカリフォルニア州の住民とみなされる。

 

そうなると、レイカーズからの報酬4年間1億5400万ドル(170億円)に対しカリフォルニア州で、4年で2100万ドル(23億円)もの住民税を払うことになる。更にスポンサーの広告料5000万ドル(60億円)にも課税されることになるから、少なくとも4年間で2700万ドル(30億円)もの住民税が課税される。アメリカの地方税(住民税)に二重課税の控除制度がないことから、二州で多額の住民税を支払うことになる、さてどうするか。彼のCPAの能力が問われることになる。

 

 

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