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アメリカの超富裕層はどこの国のパスポートを買っているか?

Bloombergに「超富裕層はプライベートジェットやスーパーヨットの次に、第2、第3のパスポートをもつのがステータスシンボルになっている」との記事が掲載された。各国の国籍取得に関するアドバイスやQuality of Nationality Index(2018年度はフランスが1位、米国は27位、日本は29位、ベスト20は全てヨーロッパである。)を出版しているHenley Partnersによれば、二つ以上の市民権を持つことは、富裕層にとって様々な政治および税制ならびに治安等のリスクをヘッジする手段として欠かせないものであると言っている。

 

米国も含め多くの国が、一定の規準を満たせば法的に認められた居住者が市民権を取得できるのに対し、わずか10か国は何の基準も満たさず不動産投資等を含めてお金だけ出せば、あからさまに国籍を取得できるようになっているのには驚きだ。この内8か国はIMFにより Offshore Financial Centerと定義されているが、もちろん富裕層の第一目的は脱税ではなく、安全やステータスを求めて国籍を購入することである。富裕層にとっては、ヨットを持ち、自家用ジェットを2機ほど持てば、次にはマルタのパスポートが欲しくなるというわけだ。この10か国は以下の通りである。


国名

取得コスト

キャピタル

ゲイン課税率

法人税

市民権発売

開始年

Austria

$23,750,000

28%

25%

1985

Cyprus

$2,375,000

20%

12.5%

2002

Malta

$1,065,000

12%

35%

2014

Turkey

$1,000,000

35%

22%

2017

Vanuatu

$$226,500

0%

0%

2017

Grenada

$208,250

12%

30%

2013

St. Kitts and Nevis

$150,000

0%

35%

1984

Saint Lucia

$100,000

0%

30%

2015

Dominica

$100,000

0%

25%

1993

Antigua and Barbuda

$100,000

0%

0%

2013


オーストリアは、市民権取得条件として国内経済が活発になる投資を行うこととされている。国籍取得は政府のプライバシー法の下で行われるので、新たに国籍を取得した人の名前等は国内外ともに一切開示されることはない。

 

キプロスはノルウェーの海運業ビリオネアー、John Fredriksen氏が市民であることが有名である。市民権取得の為の最低投資額は50万ドル(5500万円)にカットされた。キプロスは旧イギリス植民地であるが、中東およびイスラム諸国と友好関係にあり、テロは殆どない。

 

マルタは全世界所得に対する課税はない。海外から持ち込まれる資産および資金については一律15%の課税が行われるだけだ。

 

トルコは最小限100万ドル(1億1000万円)の不動産購入をするか、300万ドル(3億3000万円)をトルコの銀行口座に入れ、その額を維持することにより国籍を取得できる。しかし今はリラの急落で大変ではある。

 

バヌアツは個人も法人も所得税、法人税はなく、贈与税、相続税、キャピタルゲイン課税も何もない。政府のウェブサイトでは”Great Tax Haven”とわざわざ謳っている有様である。

 

グレナダはベネズエラ沖カリブ海西インド諸島の小さな島でイギリス連邦加盟国であり、この国の国民は何と中国を含め141か国ヘビザ無し渡航が可能である。

 

セントキッツネイビス連邦もカリブ海西インド諸島に浮かぶ小さな島でイギリス連邦加盟国。ここでは国籍取得後60日以内でパスポートを取得できる。

 

セントルシアも西インド諸島に浮かぶ小さな島でイギリス連邦加盟国だ。ここでは国籍取得後この島に居住する必要がなく、訪問することも必要としない、正にペーパー国民となる。

 

ドミニカ共和国も西インド諸島に浮かぶ小さな島でイギリス連邦加盟国だ。アメリカメジャーリーグの選手が多い。ここではわずか10万ドル(1100万円)を、この島のEconomic Diversification Fundに寄付することで国籍を取得できる。最も安く簡単な方法である。

 

アンティグア・バーブーダもカリブ海西インド諸島に位置し、イギリス連邦加盟国だ。ここでは2016年に個人所得税が廃止された。

 

このようにアメリカ富裕層はゴルフの会員権を買うがごとく、節税対策のため国籍を買っている。値段はプライベートジェットや高級ヨットよりはるかに安い。私の事務所もこのような問い合わせが多くなった。
日本人の富裕層もインターナショナルな節税対策を行う人が今後増えるのではないか。

 

 

☆ 推薦図書 ☆
清原和博独占手記 『このまま死んでしまいたい』 文藝春秋9月号 980円
薬物依存病と甲子園の夢、逮捕から2年半の地獄をすべて語る。
5月末に1985年夏の甲子園で優勝したときに使っていたバットが戻ってきた。これまで甲子園歴史館に飾ってあったもので、清原が薬物使用で逮捕された後は撤去されていた。今までの記念のバットは皆、人にあげたので、今持っているバットはこの1本だけ。
留置場の中では「114番」と呼ばれた。風呂は5日に1回、しかも15分以内で、入るときにはぬるくて、あまり湯が入っていない湯船の中には、髪の毛や何かわからないものがたくさん浮いていて目を逸らしたくなった。自分が最後だとわかって、「114番、栓を抜け」と言われ、栓を抜いた。初めて風呂に入った日は一睡もできなかった。留置場で一か月半過ごし、保釈された後は松戸市の病院に入ったが、24時間監視つき。「一人にしておくと、自殺するのではないか」と思われていたようだ。
覚醒剤の量が増えたのは、現役を引退した後。野球選手の清原は死んだ。いつまでもホームランを打った時の感動、そんな自分を満たしてくれるものがなくなった。人生の目標すらない自分になって、夜な夜な酒を飲みに行くようになり、酔っ払っている自分に薬物の誘いをかけてくる人に捕まった。週刊誌に薬物中毒と書かれた後、家に帰ったら妻も二人の息子も、誰もいなくなっていた。それから、息子に会えなくなってから、ますます薬の量が増えた。今は、最後の1本のバットと向き合って、やっとトレーニングをし始めたが、これからが勝負だと……。

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