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マイクロソフト共同創業者Paul Allenの相続 パート2

10月15日にマイクロソフト共同創業者Paul Allenが死去し、その相続財産は260億ドル(約3兆円)と、以前にこのブログで書いた。Paulは妻も子もいない。彼の資産はPaulと妹が設立したVulcan Incを通じて所有されている。また、彼はアメリカンフットボールのSeattle Seahawksのオーナーであり、さらに、プロバスケットチームPortland Trail Blazersのオーナーでもある。両チームの価値は合わせて30億ドル(3300億円)と言われている。

 

アメリカでは、この二つのプロスポーツチームをどう売却するかに注目が集まっているが、最も注目されるのがプロスポーツの税制優遇措置である。トランプの税制改正により、プロスポーツチームのオーナーは減税を受けられると思っていたが、8月のIRSの公表によると、どうやら、そのようにはならないようだ。これは当初見解では、プロスポーツチームがパートナーシップやLLCによって所有されていた場合、そこからの課税所得の20%までを、オーナー個人の所得から控除できるというものだったが、IRSは、オーナーは単にビジネスでやっているのだから優遇措置は必要ないという現在の見解だ、しかしトランプ政権のことだから、12月の正式発表までわからない。

 

もし、税制上の恩恵がないとした場合、普通の税金がかかるのだから、手取りの問題が重要で、売却価格に大きな影響がでると見ている。買う方としても税金のメリットを享受したいので、スタジアムの減価償却費などの節税効果を追求して行く。ただ、肝心のVulcan Incは、売るとも売らないとも何も言っていないのに、プロスポーツ専門分野のマスコミなどが大騒ぎし、恐らくチームを売却して、その売却代金でチャリティーを行うのだと言っている。

 

ただ、プロスポーツチームのオーナーたちは、まだ優遇税制の期待を諦めていないようで、所属プロスポーツ選手が自ら試合やイベントに参加し、そこから得る報酬を自ら作ったパススルー会社に利益をもたらし、減税の恩恵を受けるのではないかと、IRSが懸念している。しかし、プロスポーツ選手がオーナーになることはほとんどなく、球団等の経営のノウハウを持っているわけではない。オーナーがIRSに反論するとすれば、ニューヨークヤンキースなどのように、単にチケットの販売が収入源ではなく、テレビの放映権、商品、グッズの販売、売店の収入に支えられていて、「スポーツ」そのものからの収入は僅かだということである。

 

今回のIRSへの嘆願書には、バスケットボール、アメリカンフットボールの他、大リーグも同様の意見書を出している。この税金に左右される、Seattle SeahawksやPortland Trail Blazersの売却価格、全米の注目の的となっている。

 

 

☆ 推薦図書 ☆
五木寛之著 『「ひとりで死ぬ」ことの幸福論』 文藝春秋12月号 880円
かつては「人生50年」と言われていたが、今では50歳は人生の前半にすぎない。“Together and alone”。家族と過ごす、歌の会にも行く、友人と旅行し、ボランティアにも参加する、スポーツクラブで運動もする。周りの人々と積極的に付き合い(together)ながら、孤独(alone)でいること。鎌倉時代までの仏教は、いわゆる国家鎮護のための教えであったが、その概念を変えたのが親鸞であり、阿弥陀仏は共同体ではなく、一人一人の「個人」の問題である。「わたし」が救われるためには、一対一で孤独者として阿弥陀仏と向き合うのだと親鸞は語ったが、日本人はそういった考え方が苦手な民族で、形式的に「一人なら一人」「皆と一緒なら一緒」である。他人と触れ合うなかで、自分が唯一の個性なのだと感じることによって「孤独」が生まれる。独りでいるのは「孤立」であり「孤独」ではない。大島渚、岩城宏之、小田実、青島幸男、同世代、昭和7年生まれの人々だ。野坂昭如、井上ひさし、二つ下には大橋巨泉。彼らは死んだが、著者は寂しいと思ったことはない。「ああ死んだか。先にそっちに往ったか」それくらいしか感じない。なぜなら、彼らは著者の回想の中で色濃く生きているから、過去の記憶が色濃くあれば、あるほど、亡くなった人たちが現在も存在しているような感覚を抱くことができる。そして「誰もがいずれ一人で、孤独の中で死ななくてはならない」ということである。

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