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イギリス王室メーガン妃の出産とアメリカの税金

メーガン妃の出産が近づいている。メーガン妃が米国市民として税務上注意をしなければならい点が多々あることについては昨年、このブログで伝えた。これから生まれる子供についても税務上注意しなければならないとWall Street Journalは書いている。アメリカ国籍の者から生まれた子供は自動的にアメリカ市民なるが、出産後すぐに現地のアメリカ領事館へ出生届を出す必要がある。

 

アメリカ市民あるいはグリーンカードホルダーは世界のどこに暮らしていてもアメリカ連邦税の課税対象となり、申告が必要となる。アメリカ市民は他の国とは違い、海外に居住していようとも全世界の所得をアメリカで申告納税しなければならない。アメリカ市民の子供に利息や配当のような非労働所得が2200ドル(25万円)以上ある場合、Kiddie Taxなるものが課税され、その税率は所得が低くても最高税率での課税となる。また、メーガン妃の子供が英国の銀行で将来残高が1万ドル(110万円)以上になる場合には海外資産の開示もIRSで必要となる。

 

また、贈与やトラストにも注意が必要である。年間10万ドル(1100万円)以上の贈与を外国人から受ける場合にはIRSへの届け出が義務付けられている。特にその贈与の原資がどこからかということが重要だ。例えば女王を出所とするお金をフィリップ王子が誰かに贈与を行う場合、これは女王による贈与と見做される。王室は多くの資産をトラストで保有されていると言われるが、その王室のトラストからの贈与がメーガン妃や子供に贈与される場合にはIRSへの報告や課税が発生する。この報告を怠った場合にはペナルティが甚大で、口座にある残高の50%、贈与の場合には贈与額の25%となっているからかなりの重税になる。

 

実際IRSの子供の申告への税務調査は殆どないようだが、その親の対して行なわれることはある。子供が米国市民権を放棄することは可能なようだが、但し、16-17歳まで待たなければならない。両親や弁護士の付き添いなしで米国領事館員が面接を行い、本人の意思であることを確認する。子供の時であれば米国出国税課税も殆どない。但し、過去5年間米国連邦税法を順守してきたことを証明しなければならない。

 

英国王室もこの点についてはかなり慎重で、アメリカの税務コンサルティング会社に相談をしているようである。例えば、結婚式でエリザベス女王からティアラを借りた価値、ギフトされた宝石の価値、2百万ドルといわれる家のリノベーション費用、旅行費用等を税務上どう考えるのか。また、メーガン妃のクレジットカードがハリー王子の口座に連動しており、その口座に1万ドル以上あればアメリカ財務省に報告する必要があるわけだから慎重になる。王室で脱税もしくはアメリカの税法を順守していないようなことが起これば、一大スキャンダルになるから慎重になるのも当然である。アメリカ財務省もこのようなことには抜け目がないので、イギリス王室は適切なアドバイスを受けることは必須。日本の皇室では考えられないことであるが。

 

 

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奥村眞吾著 『こう変わる!! 平成31年度の税制改正』 実務出版 1944円+税
毎年お馴染みの税制改正の本である。消費税率を10%に引き上げるのに伴い、消費の落ち込みをカバーすべく、車と住宅への税の配慮から、住宅ローン減税の拡充を行った。また個人事業者の継続難からの、相続税や贈与税の大幅な軽減を打ち出した「個人事業者の事業承継税制」の創設。さらには仮想通貨の取得価額の計算方法の明確化、また民法の改正から生じた配偶者居住権なるものが出現し、その為、居住用住宅への新税制の導入などの取り扱いを具体的に解説。その他、イノベーション促進税制や国際課税の改正など、安倍内閣の今年度の税制をあまねく伝え、これ一冊で本年度税制の全てがわかる。

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