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航空会社のマイレージは相続財産か?

あなたがお持ちのマイレージプログラムのマイレージは死後の世界へ持っていくことは出来ないが、遺族に残すことも難しい。Wall Street Journalによると、多くの航空会社はマイル所有者が死亡するとその口座を閉鎖し、そこでマイルは消滅するとしている。例えそれに何万ドルの価値があってもだ。中には遺族が嘆願することにより例外的に遺族へマイルを移転することもあるようだが、故人の死で悲しみに落ち込んでいる家族にとって、更に航空会社とハードな交渉を行うことは厳しく、諦める人も多いようである。また、航空会社の中には膨大な額のトランスファー料を科すこともあるようである。

 

アメリカンとユナイテッド航空は原則としてマイルの移転は行わないとしている。但し、例外としてマイル保持者の死亡した場合には死亡証明書、遺言書等を持参した上で、航空会社の裁量によりその不可を決める場合もあるとしているから、今後の営業も考えているのだろう。カンタス、ブリッティシュエアー、シンガポール、大韓航空及びその他航空会社の多くは、メンバーが死亡時マイルも消滅すると明記している。サウスウエスト航空は(多くのアメリカ人はサウスワーストと揶揄している)、メンバー死亡後24か月はマイルを使用できるとしている(勿論遺族が故人のパスワードを覚えている必要がある。)。エミレーツ及び全日空は死後6か月以内にマイル移転のリクエストを行う必要があると規定されている(6か月を超えると全マイル数が消滅する。)。航空会社には、死亡証明書及び遺書もしくはどの遺族にマイルを移転するかを記載した裁判所命令が必要とするところもある。

 

デルタ航空は2013年まで死後のマイル移転が可能だったが、その後規定が変更され、メンバーの死後マイルも消滅することとなった。但し、「デルタ航空のオフィサーからの認可があれば例外として認める」とある。オフィサーとはVice President以上の地位にある人のことで、デルタ航空によればマイルはメンバーに帰属するものではなく、航空会社に帰属するものであり、いかようにもできるといっている。ただ、デルタ航空では死亡等が起きれば連絡をして欲しいとしている。ケースバイケースで検討するようだ。最高裁判所の判決でも、マイレージの規定は航空会社の裁量で決めることができるとしている。最近ではJetBlueのような、家族でマイルを共有できるFamily Poolingというアカウントも開設された。

 

Wall street Journalのアドバイスでは、に遺贈にあたっては、まず遺言書の中で誰がマイレージを相続するのか明確に記載する。航空会社と交渉する上で重要な書類となるからだ。配偶者等、誰かが必ず故人のマイレージアカウントのパスワード等の情報を把握しておく。ベストのアドバイスは、航空会社がマイレージメンバーの死亡に気づく前に故人のマイルを全て使いきることといっているが、現実には不可能であろう。マイルのトランスファー料には気をつける。また、マイルの期限にも気をつける。JetBlueのようなFamily Poolingシステムがあれば、そのようなアカウントに移行する。最後に、死のうが死ぬまいが、マイル残高は長く残しておかない。いつの時代もマイル価値は長期的に目減りすることを肝にすえなければならない。名言である。

 

この問題はマイレージだけではなく、デパートやレストラン等ありとあらゆる所で使われているポイント制度に通じる。はたして、貯めたポイントは遺族に相続が可能なのかどうか?よくよく規定を読む必要が出てきた。また、どこまで相続財産としてみなされるのか、デジタル課税時代である。

 

 

☆ 推薦図書 ☆
藤田紘一郎著 『人生100年、長すぎるけど どうせなら健康に生きたい。』 光文社新書 760円+税
著者は東京医科歯科大学名誉教授で79歳である。免疫学の世界的権威である。人生100年時代に突入、長すぎると思う。しかし、2007年に生まれた子どもの約半数が107歳まで生きるというデータが示すように、「人生100年」はスタンダードになっている。長すぎるが、死なないのであれば、生きていくしかない。そして、どうせ生きていくのであれば病気にならず、好きなことができる程度の健康がほしい。著者はその思いから、「食事」と「生活習慣」という二つの側面で今日から取り入れられる100の健康法を紹介している。
著者は免疫学の権威で、人の健康は免疫力に左右されているとしている。免疫力は腸で70%、心で30%がつくられる。大事なのは、健康を維持するためには医療に頼らないこと。もちろん、医療に頼ったほうが良いこともある。著者も体調を崩したら、薬ぐらいは飲む。しかし不調を正すのも、病気を起こさないのも、自分のなかの免疫力が働いてくれるからである。ところが最近、長生きするため「早期発見、早期治療」だという人が、医者を含めて大勢いる。その考え方は「一に検査、二に治療」で、医療ありきだ。検査で発見される時点で病気はすでに起こっている。早期発見よりも大事なのは、免疫力を鍛えて病気を起こさないように日々を過ごすこと。著者は後期高齢者だが、健康診断を受けたことはないと言う。同感である。

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