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最もビジネスに適した州はどこか、アメリカ

このブログは年内最後である。今年も何回か海外出張した。アメリカ関係のブログを書くたびに思うのは、日本と比べアメリカ人は豊かである。これらは日本では報道されない、戦前の大本営発表から何歩も出ていないのではないかと思う。

さて、フォーブスではビジネスに適した州ランキングを14年間にわたり発表している。Business Cost(労働費、光熱費、税金等)、Labor Supply(大学及び高校卒業生数、人口流入出数等)、Regulatory Environment(損害賠償等法的責任、財産所有権、訴訟環境、格付、健康保険、雇用均等等)、Economic Climate(過去5年間の仕事、所得、州総生産の成長率等)、Growth Prospects(今後5年間の仕事、所得、州総生産の成長率等)、Quality of Life(生活費、犯罪率、天候、大学ランキング、通勤時間等)の6つの基準からランキングを決定している。

以下がランキングだ。
①ノースカロライナ ②テキサス ③ユタ ④バージニア ⑤フロリダ ⑥ジョージア ⑦テネシー ⑧ワシントン ⑨コロラド ⑩アイダホ ⑪ネブラスカ ⑫インディアナ ⑬ネバダ ⑭サウスダコタ ⑮ミネソタ ⑯サウスカロライナ ⑰アイオワ ⑱アリゾナ ⑲マサチューセッツ ⑳オレゴン ㉑ウィスコンシン ㉒ミズーリ ㉓デラウェア ㉔オクラホマ ㉕ニューハンプシャー ㉖ノースダコタ ㉗ペンシルベニア ㉘ニューヨーク ㉙オハイオ ㉚モンタナ ㉛カリフォルニア ㉜ワイオミング ㉝アーカンソー ㉞メリーランド ㉟ミシガン ㊱カンザス ㊲イリノイ ㊳ケンタッキー ㊴ニュージャージー ㊵アラバマ ㊶ロードアイランド ㊷ミシシッピ ㊸コネチカット ㊹メイン ㊺バーモント ㊻ルイジアナ ㊼ハワイ ㊽ニューメキシコ ㊾ウエストバージニア ㊿アラスカ

ノースカロライナ州は3年連続で1位に輝いているが、州の債券はムーディーズでAaaの格付を誇り、Regulatory Environmentでは1位となっている。また、高学歴で質の高い労働力があるため、マイクロソフトやファイザーが大きな投資をしている。

また、2位にランキングしているテキサス州はGrowth Prospectsで1位となっており、最近ではオースティン市にアップル社が10億ドルをかけ244000sfのキャンパスを作っている。ここでMac Proのデザイン及び生産を行う予定で、現在は500人ほどだが、今後1万5000人まで雇用するとしている。テキサスは、税率が低く、組合の結成率が4%と低く、ビジネスコストも低くなっていて、私のアメリカ本社があるカリフォルニア州とは比べようがない。

3位のユタ州は昨年の2位よりランクを下げたが、若年層が多く、人口増加も見込まれ、起業家精神が旺盛であることから、今後5年間の仕事の増加率も高いことが見込まれている。

一方、最下位はアラスカ州だが、エネルギー価格の下落による影響が出ており、雇用の減少が続いていると同時に、州外への人口流出が止まらない。Economic Climate及びQuality of Lifeは最下位となっている。また、ランキング49位のウエストバージニア州も評価は低く、Labor Supply、Regulatory Environment、Growth Prospectsで最下位となっている。

ところで、弊所のあるカリフォルニア州と言えば31位となっており、あまり評価は高くない。これは、Economic Climateは1位、Growth Prospectsは10位と高評価をされているが、Business Cost は47位、Labor Supplyは25位、Quality of Lifeは27位という低さが響いている。このランキングは、成長力はあるものの、税金が高く、訴訟も多く、通勤時間も長く、ビジネス環境には厳しいという、まさにカリフォルニア州そのものを表しているようだ。ロサンジェルスに一度来てみるがいい、6車線もあるフリーウェイが渋滞でいつ着くかわからない、それが毎日である。誇れるのは気候のみか。

☆ 推薦図書 ☆
週刊文春編 『私の大往生』 文春新書 820円+税
「大往生」を広辞苑で引くと、「安らかに死ぬこと。少しの苦しみもない往生」とある。そんな理想的な「死のかたち」とはどういうものなのか、人生を達観した14人に尋ねた本である。印象に残った死に方、人生への思い、人生のしまい方を考える糧となる一冊。その中で著名な医師、中村仁一氏、理想は「孤独死」と「野垂れ死に」だという。氏のベストセラーに「大往生したけりゃ医療とかかわるな」がある。特別養護老人ホーム「同和園」の所長として数々の患者を看取ってきた。理想の最後とは何なのか、現在の医療は「老い」と「死」には無力である。氏は1966年から「自分の死を考える集い」を主宰している。キャッチフレーズは「今を輝いて生きるために、死を視野に」中村氏は「非常に良い病気」と語るのが、がんである。彼の経験上、放置されたがんは痛みがないという。これは前に紹介した近藤誠医師も「がんは手術をするから苦しむ」という。60歳を超えて手術などするものではない、それが一番の大往生。

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