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年末にアメリカ人富裕層が決まって行うこと

あけましておめでとうございます。
年末年始、恒例になりましたが新税制に関する本、2冊の執筆を無事完了しました。

ところで、アメリカ人富裕層が年末に行う準備とは?
アメリカ人富裕層が年末になると必ず行う儀式がある。それは何かという記事がForbesに掲載されていた。その儀式とは、小切手を郵送したり、クリスマスプレゼントの中に入れたり、529教育資金プランやトラストに送金することだと書いてあった。これは、富裕層が毎年1万5千ドルの非課税枠を利用して毎年ファミリーメンバーに贈与を行うということである。

この儀式は富裕層にとって、親の財産を子供や孫へと移す方法で最も簡単な方法として長い間利用されてきた(日本でも110万円の非課税枠を使って毎年贈与する者もいる)。アメリカでの贈与税課税は日本と違い、あげるほう、つまり贈与者が納税を行うこととなっており、その贈与金額は2019年及び2020年では、贈与者は受贈者に対し最高15,000ドルまで非課税となっている。つまり、夫婦であれば一人の子供に対し3万ドル(330万円)まで非課税で年間贈与できることになる。多くのアメリカ人にとって高額な相続税非課税枠がある現在、贈与税や相続税について心配する必要がなくなってきているのが現状だ。それではなぜ、富裕層はこのような非課税贈与を相続税対策上利用するのだろうか?

2001年の時点では、相続税非課税枠は65万ドル(7,000万円)、最高税率は55%(日本と同じ)であった。その当時はいかに相続財産を減らすのかとうことが重要で、この非課税枠を利用した贈与がよく行われていた。その後、相続税の非課税枠が徐々に大きくなり、2009年には350万ドル(4億円)、最高税率は45%となって、その後も非課税枠は拡大された。

2017年にはTax Cuts and Jobs Act(TCJA)で、ついに未婚者の相続税非課税枠が1,158万ドル(12億円)、既婚者で2,316万ドル(24億円、2020年適用)まで拡大(日本は4,800万円)、最高税率は40%まで下がった。これは、一般的なアメリカ人であれば相続税や贈与税について心配はなくなるレベルである。Tax Policy Centerによれば、2001年での相続税申告書提出数は5万500件あったものが、2018年にはわずか1,900件まで減少していると報告している。日本は10万件だが。

このような状況で、実はTCJAにはストラクチャーの問題があるとされている。つまり、この高額な相続税非課税枠は2025年までの時限立法であり、その後はTCJA発効前の非課税枠500万ドル(5億円、プラスインフレ率)に逆戻りするというのだ。さらに、今年の大統領選挙で民主党が勝利しようものなら、2025年を待たずに非課税枠が縮小するリスクがある。このような理由で、現在の税務環境にも拘わらず、富裕層は粛々と毎年、年間非課税枠を利用した贈与を行っているというわけだ。

勿論、富裕層の中には相続税対策だけではなく、両親や祖父母は富裕でも家族のメンバーの中には本当に生活に困っていいて現金が必要な者もいるわけで、そのような場合には受贈者は毎年の両親からの贈与に依存している。相続税対策とはいいながら、一石二鳥ということになる。この年間非課税贈与枠を利用した相続税対策は大変地味な手法でありながら、簡単で確実な方法として今後も富裕層の間では今後も継続されていくであろう。それにしても相続税がかかる者の格差が日米違いすぎる。

☆ 推薦図書 ☆
平野秀樹著 『日本はすでに侵略されている』 新潮社 740円+税
一昨年、「SILENT INVASION」(静かなる侵略)なる本がブレイクした。著者はオーストラリアの教授で、中国からの移民や経済進出により、オーストラリアの政治や安全保障などが知らぬ間に侵されていく現実が、赤裸々に書かれていた。
日本はどうだろう。北海道から南西諸島まで「静かなる侵略」が着々と進んでいる。この実態を明らかにし、このままでは、いずれ日本は消えてしまうのではないかと警鐘を鳴らす本である。
今、日本各地で外国人が土地を買っている。しかも自衛隊基地や米軍基地のそばであるが、この現象に対して与野党の国会議員はさほど問題にしていない(桜の会の方が重要なのだろうか)。先進諸国は外資による土地買収には敏感である。ところが日本だけはFTZ(自由貿易試験区)、IR(カジノ法)、移民法など、分野を問わず、規制緩和である。
尖閣や竹島問題にしても、日本政府は抗議をしているものの、他国による侵入と不法占拠は常態化したままである。
樺太がロシアの領土になったいきさつである、日本人が住まなくなり放置された土地が、どうなったか歴史に学ぶべきだとしている。

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