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Coronavirus騒動中、トランプ大統領、減税策を述べる

新型コロナの影響でアメリカでも大混乱。あらゆる分野のイベントが中止、感染者はうなぎのぼりで、病院はパンク状態である。トランプは陰性だったようだが、このウイルスは致死率が低いものの、死亡者はすでに疾患を持っている人か、免疫力の低い高齢者に集中している。

さて、日本人に理解している人が少ないのは、アメリカ人も日本人も同じ恐怖に怯えているのではないかということ。アメリカ人は、陽性が出たら医者にかからないといけないことに怯えている人が多いのである。救急車がタダだと思っている国民と、救急車を一度呼べば10万円や20万円がいっぺんに吹っ飛ぶと思っている国民との違いだろう。日本人は、コロナウイルスに罹ったら、いくらかかるだろうかと心配する者はほとんどいない。国民皆保険の有難さだ。

一方、アメリカには国民保険がない。数千万人が民間の健康保険に加入していないと言われている。また、病院に来ても、実際のコロナ感染者との接触の証拠がなければ検査を拒否される。検査キットの精度が悪く、陽性が陰性、陰性が陽性となるのはザラ。検査キットの数が足りない。CNNによれば実際、水曜日までにわずか11,079人の検査しか行われていないという。これらのことから、まだまだ拡大しそうである。

このような混乱状態にある中、トランプ大統領はPayroll Taxを中心とした減税をほのめかしてきた。前回Payroll Tax(給与所得)の減税を行ったのはオバマ大統領の時で、リーマンショック後の経済が停滞していた2011年である。この減税は2012年も継続された。

賃金や自営業収入はSocial Security Tax(社会保障税)及び Medicare Tax(65歳以上の医療・障害者保険)からなるPayroll Taxの対象となる。Social Security Tax及び Medicare TaxはFICA(Federal Insurance Contribution Act:連邦保険拠出金法)の下、給与から直接源泉徴収をされることになる(日本と同様)。SECA(Self Employment Contribution Act:自営業者拠出金法)に基づき、雇う方と雇われる方の双方が支払いを行う。従業員の場合、給与に対しSocial Security Tax を6.20%支払い、雇用主も同じく6.20%拠出する(この制度も日本と同じく折半)。自営業者であれば両方、12.40%を払うことになる。

但し、Social Security Taxには賃金の上限が設けられており、賃金がある金額に到達するとSocial Security Taxの課税がなくなる(この制度も日本と同様)。この賃金水準は、2020年では137,000ドルとなっている。つまり賃金が500,000ドルの人は137,000ドル(1,500万円)までSocial Security Taxがかかるが、137,000を超えた部分には課税されない(日本は1,700万円)。一方、Medicare Taxにはこのような上限はなく、全ての賃金に課税される。因みに税率は1.45%である。但し、賃金が独身者で200,000ドル(2,200万円)以上、婚姻者で250,000ドル(2,700万円)を超えると更に0.9%追加課税される。

オバマ時代の2011年の減税時には、雇用主のSocial Security Tax負担率6.20%に変更はなかったが、従業員の負担率は6.20%から2.00%まで下げられ、減税が行われた。自営業者も同様の扱いとなった。Medicare Taxには変更はなかった。今回の減税も同様の方法で行われることが見込まれるが、具体的な税率についてはまだ議論はされていないようである。

実際、この減税により手取り額が大きくなるので、コロナ騒動で消費が減速した分、消費が増加すると期待されるが、例の下院議長であるNancy Pelosi女史は、減税は的が外れているのではないか、寧ろ休みを有給で与えるPTO (Paid Time Off)の拡充のほうが無理に会社へ出て来る人が減り、検討に値するのではないかと騒いでいる。トランプ大統領の発言はいつも騒動を起こすが、最後には決着する。安倍首相の検察官の定年延長や、森法相の後ろ向きな対応よりも、コロナで落ち込んだ経済を立て直すのに、一層、消費税を当分ゼロにするなどと言ったらどうであろうか。

☆ 推薦図書 ☆
鈴木敏文著 勝見明構成 『鈴木敏文の経営言行録』 日本経営合理化協会出版局 13,500円+税(3冊セット)
ご存知、セブン&アイ・ホールディングスの創業者。氏の膨大な言行に関する名言・格言を選りすぐり本にしたものである。
彼は常に、経営に集団指導体制はありえない。必要なのはボトムアップではなく、リーダーシップなのだと。「一人ひとりの非合理な動きの積み重ねがマクロ経済であり、それが理屈通りに動くはずがない」「商品を提供するときに忘れてはならないのは、お客様に対して「選ぶ理由」を提供できているかどうか」などなど。
頑張った自分へのご褒美に、高くても高級ブランド品を買う、家族のために多少高くてもより上質な食品を買う。それはなぜか。人は、得るものよりも、失うものの方を大きく感じる。今持っているものを失いたくない、損をしたくないという心理だ。その反面、正当な理由があれば、何かを買いたいと思っている。損をしたくない分、自分の選択を納得し、消費を正当化できる理由を求めている。お客様は何を買うかと言えば、価値を買いたい。とすれば、売り手はお客様に対し、買うべき価値があると納得できる理由、すなわち、選択の納得性を提供できているかどうかである。
鈴木氏の論は、商売に携わる者にとっては、ある意味聖書である。この本はAIにも言及している。松下幸之助とは意味合いが違うが、必読である。読み応えがある。

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