久しぶりにドメスティックな話題である。日本では、いくら儲けても税金を払わないでよいという法人がある。公益財団法人、公益社団法人、社会福祉法人、学校法人、それに宗教法人だ。京都の立派な寺、神社にも固定資産税はかからない。増上寺や日光東照宮もしかりである。非課税の根拠は、世の中の為になる事業を行っているので、金儲け、いわゆる営利事業を行ってないからだというのが理由である。果たして、そうかは別にして、このほどコロナで大忙しの小池百合子東京都知事が納骨堂への固定資産税の課税を指示したのである。たしかに最近、納骨堂の広告宣伝が目立つ。
マンション販売と同様、納骨堂の販売も商売ではないかと従来から指摘があった。なぜ非課税であったかのかの法的根拠は「宗教法人が専らその本来の用に供する宗教法人法第3条に規定する境内建物及び境内地」が非課税と明記されているからである。本願寺や東大寺のあの広大な敷地や信濃町の創価学会の建物敷地もみんな非課税である。非課税になる根拠条文、宗教法人法第3条は「宗教の教義をひろめ、儀式行事を行い、及び信者を教化育成するという主たる目的のために必要な当該宗教法人にとって本来的に欠くことができない建物、工作物及び土地」とある。今どき売り出されている大都市の納骨堂は宗教法人法第3条に該当するものではなく、単に金儲けで、そこには第3条の「教えをひろめ」だとか「儀式を常に行う」とは、程遠いと小池知事は感じたのだろう。納骨堂の宣伝文句「屋外の墓と変わらない立派な墓石」「便利な都心に墓を持つ」「いつでも法要室を利用できる」「雨でもお墓参り」などなどのうたい文句。しかし宗教法人を税制で、ここまで優遇してきたのは、明らかに政治上、宗教法人の信者は票田であるからだ。従って、宗教法人を利用した脱税はこれまでも枚挙にいとまがない。文化庁の通達では「納骨堂は宗教法人法第3条に含まれる」という通達まで出している。しかし唯一平成28年東京地裁で、行き過ぎた納骨堂への課税を認めた事例もある。ただ国民心理として、永代供養だとかを売りにした納骨堂販売を宗教法人が行っているから非課税だという論理に矛盾を感じている者が多くいると思うが、このほどの都の決定は、ある意味「課税の公平」を訴えているのであろうと思われる。
☆ 推薦図書。
トニー・サルダナ著 小林啓倫訳 「なぜ、DXは失敗するのか」東洋経済新報社 2400円+税
現在、第4次産業革命がもたらすデジタル技術による破壊的変化が進行中、この変化により「フォーチュン500」に入っている500社の50%が今後10年以内に入れ替わる。また「S&P500社」の平均寿命はわずか20年としている。従って、この変革を乗り切ろうとしてデジタルフォーメーション(DX)に各社取り組んでいる。しかし現実はDXの70%は失敗している。何故か?その理由は
過去の産業革命から学べる。つまりDXを成功させるには5段階モデルがある。ステージ①基礎、販売や製造の内部プロセスをデジタル化させる②個別対応、変革に向けたプログラムを部門単位で実地➂部門連携、戦略的変革に向け、部門間で連携されたプログラムを、組織全体で同じ方向に向かい始める④全体連携、組織全体が連携、企業全体のデジタルプラットフォームが定着➄DNA化、変革が永続的、絶えずイノベーションを行い、業界のリーダーとしての地位を維持
しかし、この本を読んで思うのは、企業が変化に対応するためには、徹底的な顧客中心主義を貫くことであるとしている。これは昔も今も変わらない。産業革命以来同じであると。