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コロナ後の増税、各国の思案

世界的に各国は、今、兆円単位でコロナ対策のため国費を充てている。この結果、この膨大な財政支出を補う手段として、税金を投入するが、どこもそれでは足りない。イギリスなどは、いち早く増税を打ち出したが、日本はどうであろう。アメリカのバイデン大統領の税制改正案では、富裕層の最高税率を40%近くまで引き上げるとしているが、野党の共和党は反対していて、富裕層や金融業界の支持はない。いつもそうだがアメリカでは富裕層の課税強化は実現したためしはない。一方、日本はどうだろうか、相続税・贈与税、所得税の最高税率は既に55%に達しており、先進国では群を抜いている。また、これを機に資産格差を是正する意味での、個人の富裕層の増税を打ち出している。OECDの報告によると日米欧27か国の平均値として、上位10%の富裕層に富の50%が集中、上位20%の富裕層が金融資産の80%を保有しているとある。日本は上位1%の富裕層は、資産全体の11%を占めるとして、先進国では一番低く、格差が最もないない国である。にもかかわらず、マスコミ等世論は「税金の負担は低所得者や中間層に強いるのは難しい、金融所得課税の税率引き上げや、相続税・贈与税の一体化税の引き上げが必要だと」言っている。ここまでくると「金持ちいじめ」であるアメリカやEUなどは、今や富裕層への課税強化は税収に大きな効果が期待できなくなっているとしている。日本の税に対する考え方は、「妬み」である。総務省は「世帯主が60歳代の世帯の平均資産残高は1900万円で若年層の3.6倍」としていて、この程度の資産残高で、まだ税金を取るかかと思う。本当に日本は貧乏な国になったと思う。富裕層の資産は身ぐるみ剝がされる。アフガニスタンではないが、日本脱出組が加速度的に増えるのではないか。

☆ 推薦図書。
猪木武徳著 「社会思想としてのクラシック音楽」 新潮社 1760円+税
私の趣味は、ワイン、オペラ、美術である。中でもクラシックは一日中聞いていても飽きない。この本のタイトルですぐ買った。音楽は作曲家達が現実に生きた社会体制を無視できない。著者は注文主やパトロン、社会環境から音楽芸術という「創造の世界」を捉えている。18世紀、音楽は教会から劇場に移行していった。ハイドンはモーツァルトとほぼ同世代だが、ハイドンがモーツァルトを凌ぐ作品を残したのはミサ曲であろう、ハイドンのミサ曲は、音楽が教会と劇場の間を彷徨う姿を実に見事に示している。モーツァルトはザルツブルク大司教との確執・決裂をみても交響曲K318、319、セレナーデK320など、およそ教会では演奏されるような形式ではなかった。こういう事もあって、モーツァルトはウイーンに移住することを決意した。中産階級が富を蓄え、劇場などに押しよせる時代になると、作曲家は聞き手が何を好むのかによって作曲するようになる。絵画も同じである。ミレーははじめ肖像画や神話を描いていたが、やがて農民画に傾斜した。そして音楽も民衆が口ずさむようになった。結果、モーツァルトの「ピアノ協奏曲第21番」(K467)が爆発した。後年この第2楽章が、映画「みじかくも美しく燃え」に使用されたと言えば映画ファンなら思い出すかもしれない。筆者は著名な経済学者でこんなに芸術家だとは知らなかった。

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