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低迷するニューヨーク株式市場と株の節税対策

ニューヨーク証券市場は今年3月以来低迷を続けているが、ウオールストリートジャーナル(WSJ)は、過去の歴史を調べるとFRBの金利引き締めのサイクルが終り、金利緩和の段階まで、下落は続くと予想している。1950年以降S&P 500は少なくとも17回にわたり15%以上の下落を経験しており、内11回はFRBによる金利緩和を行うタイミングで底入れをしている。今年はこれまでに最高で22%ほど下落し、1932年以来の最悪の状況だが、FRBは1994年以来の最大の金利引き上げを行っているものの、インフレが落ち着くまでこの利上げは継続される模様である。
既に経済が鈍化する兆候が見られる中、FRBは景気後退を招かずにSoft Landingするというシナリオは至難の業だが、戦後の記録を見ると、景気後退期にはS&P 500は平均24%下落している。下落幅で言えば、2008年リーマンショック時には-57%、2001年ドットコムバブル崩壊時には-49%、1973年の第一次オイルショック時には-48%、1970年の高インフレ・高金利時は-36%、2020年のコロナパンデミック時は-34%下落している。今回どこまで下落するかわからないが、株価上昇に転換するには相当な時間がかかるとしている。
このように株式市場が低迷する中、負け組の有価証券を売却しロスを出し、同時に含み益のある有価証券を売却することで、プラス・マイナスでキャピタルゲイン税を回避出来るチャンスでもあるとWSJは書いている。ここでは、有価証券だけでなく、暗号資産、不動産の売却によるゲインも適用される(ここが日本の税法と違う)。アメリカの所得税の場合、もし、キャピタルロスがゲインにより十分吸収されない場合には、そのキャピタルロスは毎年3000ドル(40万円)までは給与所得等通常の収入から控除出来る。通常の個人所得税率は長期有価証券売却によるキャピタルゲイン課税よりも高いので節税効果が大きくなる。キャピタルロスが残る場合には、繰越が出来る。(日本ではできないが)

ここで注意が必要なのは、Wash-Sale ルールである。アメリカの税法では損失を抱える有価証券(オプションを含める。)を売却し、その売却前後の30日間で実質同一の有価証券を再取得した場合、そのキャピタルロスはゲインからの控除が出来ず、再購入した有価証券のコストに加算されるというものだ。ここでの実質的に同一な有価証券についてのガイドラインはないが、気を付ける必要がある。現在の税法ではビットコインなどの暗号資産は有価証券ではないので、Wash-Saleルールの対象ではないが、アメリカ連邦議会は検討中だとしている。最後に、Capital Lossは日本と異なり、何年間も繰延出来るものの、本人が死ねば、それで終わり。繰越損失金は消える、日本と異なり死亡時資産の含み益には課税されないので、自らの寿命も考えて有価証券の節税対策をしないといけないとWSJは言っている。

☆ 推薦図書。
國光宏尚著 「メタバースとWeb3」エムディエヌコーポレーション 1650円
新しい世界をどう生きるか、本書はメタバースという変化に取り残されないための羅針盤であるという。いよいよ「バーチャルファースト」の時代がやってくる、新しいテクロジーは新しいビジネスモデルやチャンスが生まれる時期である。GAFAMと呼ばれる巨大アメリカ企業、日本の東証プレミアム市場の時価総額より5社の方が大きいという企業をまもなく超える企業がWeb3の登場で間違いなく出現する。今までのように、誰かが「勝者総取り」をする時代は終わる。世界は既存の中央集権型の社会であり続けるのではなく分散化してゆく。この本は今知るべきことは何か、そしてこの時代の波に乗るにはどうすればよいか。NFTなどの解説を含め、未来に生きる人、成功するための知識を伝えている

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