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認知症患者の3億円寄附は有効なのか

認知症の社長に大学病院は寄附させたとして、遺族が大学を裁判に提訴した。寄附した社長は、東証プライム上場の大企業「澁谷工業」の社長で澁谷弘利氏、寄附を受けたのは金沢医科大学。澁谷弘利氏は亡くなる5か月前に入院先の同病院に3億円寄附していた。澁谷氏は、そもそも脱水症状を発症し救急車で同病院に入院したのである。その際検査を受け、大脳の萎縮が発見され、認知症の低下が指摘された。その後も、同病院に通院を続け同病院の創立50周年記念募金に応じ3億円を寄附し、そして5か月後に亡くなったのである。裁判を起こしたのは同氏の妻、長女、次女であり、金沢医科大学が患者の症状を悪用して、不当で多額な利益を図ったと訴えた。ところが大学病院は寄附時に認知症を発生していたという診断書がなければ返還する理由がないと突っぱねた。寄附金受け入れの手続きに何ら瑕疵がないという。問題はその寄附は遺族が全く知らなかった事であり、他に愛人らしき者の影がちらほら見られ、しかも本人に個人的な借金も多額あるという。大学も、もらったものは一銭も返さないという姿勢では「統一教会」と同じではないかと私が感じるが、私だけではないと思う。私がもっと驚いたのは、資本金113億円の上場会社が、氏が亡くなる一か月前に定時株主総会が開かれ、認知症の澁谷弘利氏が取締役に選任されていたという事。同社のステークホルダーや関係者にとっても認知症患者が社会的責任ある地位に就くのはいかがなものか。日本の上場企業のモラルも問われる件でもある。

☆ 推薦図書。
野口悠紀雄著 「日銀の責任」 PHP新書 1050円+税
このブログで氏の著作を取り上げるのは何冊目かと思うほど多い。円安、物価高騰、上がらない賃金、日本が後れを取り続ける真因を徹底解明すると謳っている。マイナス金利は日本を除く世界で終わったのである。2013年4月に始まった日銀による異次元の金融緩和策。しかしその後の10年間で日本経済は活性化するどころか、その地位を著しく下げた、いまや日本企業はアフリカやモンゴルと同程度までになったのである。2022年以降の物価高騰と円安は零細業者を直撃したが、実質賃金は上がらず、状況打開のためには、日銀の金融緩和政策を転換する必要があるが、いまだに金融緩和策を転換する気もなく、見直おそうとすらしない。これからの日銀の果たさなければならない使命を考える本である

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