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タワーマンション投資に水を差す財務省

このほど国税庁が、マンション節税やタワーマンション節税に待ったをかけた。理由としては、高価なタワーマンションを購入するものは実需買いではなく、節税目的が目立ってきたからである。特に相続税対策である。1億円の預金を有していて、亡くなった場合、その1億円に対して相続税がかかるが、そのお金をマンション購入に充てると、評価は2~3千万円になってしまう。相続財産の評価は「時価」でしなければならないと相続税法22条に謳っているが、全くそうではない、国税庁が独自に決めた財産評価基本通達に従わなければならないのである。土地の評価は国税庁が決めた路線価格、建物の評価は地方公共団体が決めた固定資産税評価額である。このお上が決めた価額が「時価」である。同じ道に面した土地なら皆同じ坪単価である。建物も鉄筋コンクリート造であれば、青森で立てようが、東京で立てようが同じ価額である。実際の時価とは全く関係ない価額が財産評価基本通達に定められている。ところが昨年最高裁で、財産評価基本通達によって評価した相続財産評価が否認され、実際の「時価」で評価せよとなった。おかしな話である、国が実際の評価で評価するのではなく財産評価基本通達でせよと、いっときながら、場合によってはだめだという、国家権力を納税者が持っていないのだから、戸惑うだけである。
都内のマンションは、最近ますます値上がりを続け、「時価」と相続税評価額の差が大きくなってきている。当たり前である田舎のマンションと都心部でのマンションの建物の評価方法が一緒だからである。国税庁が取り出した例は、都内のマンション(43階建ての23回・築9年)の場合、時価・実勢価格1億1900万円だが、財産評価基本通達による評価額は3720万円となる。時価との乖離率は3.2倍ほどだ。ほとんど都内のタワーマンションは3倍を超す。国税庁は、改正で、この乖離率が1.67倍以上のマンションは時価の6割で評価するとした。そうなると、このマンションの相続税評価額は3720万円ではなく7140万円となる。路線価や固定資産税評価額は何の尺度にもならなくなる。すでに3倍を超えているマンションは品川ベイエリア、渋谷区神宮前、目黒区東山あたりが該当する。このような評価になると、まず相続税対策で購入しようとするものがなくなる。新築物件のみならず中古物件も値崩れするであろう。日本のGDPにも影響する。私は、いまだに財産評価基本通達による評価しか認めなかった国に責任があると思っている。どこの先進国が「時価」を国がきめるところがあるのか、「時価」とは不特定多数の者が合意する価額が「時価」であり、この建物はいくら、土地がいくらかと、お上が決めている日本、路線価などは日本のあらゆる道路に付している、ただただ相続税・贈与税のためだけである。初めて新幹線が開通した年、初めて東京オリンピックが開催された昭和39年にこの財産評価基本通達が発遣された。60年になるがいまだにこの規定が唯一の相続税評価額の計算根拠である。国も認める通り、この財産評価基本通達では時代遅れである。先進国のように不動産鑑定士などにゆだねるべきである。今やWEB3.0の世界でブロックチェーンやメタバース、それに仮想通貨が経済的価値を持つ世の中である、メタバースなどの絵画や宅地を評価できる規定は財産評価基本通達には全くない、政府も憲法改正に取り組んでいるが、60年そのままの財産評価基本通達を変えようという動きは、与野党にない、国会議員の先生は興味がないのか、それとも分からないのか・

推薦図書。
坂本龍一著 「ぼくはあと何回、満月を見るだろう」 新潮社 1900円+税
「ぼくはあと何回、満月を見るだろう、70歳の古希を迎えてから、よくそんなことを思います」
「人は自分の死を予知できず、人生を尽きぬ泉だと思う、」だが余命宣告を受け「大切な子供のころの思い出も、あと何回心に浮かべるか、4~5回か、あと何回満月をながめられるか、20回か、だが人生は無限の機会があると思う」
「何もしなければ余命は半年ですね」ガンの転移が発覚し医師からそう告げられたのは2020年12月、だが、その日が来る前に言葉にしておくべきことがある。しかし2021年にコンサートを控えていたが、最悪な精神状態で行ったが、仲間はよい演奏だと言ってくれた。その後、多臓器への転移、ステージ4になり肺にも転移していた。手術室に向かうドアの前で家族に「行ってくるね」呑気に手を振った。その後の彼の手記は涙である。この本は坂本家の歴史と家族に対する思い、そして自分が去った後の世界について・・・。著者の最後の日々を綴った、盟友・鈴木正文による原稿である。

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