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消費税の脱税で会社倒産

消費税納税は国内消費に限られる。外国人が日本で家電製品を購入しても日本の消費税は払わずに済む。これは、その家電製品を使うのは帰国後だからである。外国人だからといって日本国内で消費するものはすべて消費税の課税対象である。ただ店頭ではその手続きができないところが多いので、例えば百貨店などは最上階あたりに、インバウンド用の消費税還付コーナーなるものを設けている。最近は免税店としてその場で還付手続きを行うところも増えた。1万円のものを買えば1,000円の消費税を払って11,000円を支払うが、外国人は領収書をもらって還付コーナーに行けばその1000円を戻してもらえるのである。したがって百貨店は課税売上からこれらの外国人購入を除外して消費税を税務署に払う。外国人の買い物客が多い店ほど、売り上げに比べて消費税を収める額が少なくなる。このほど消費税の不正還付申告で、1950年創業の老舗TMD(宝田無線電機)が倒産した。このTMDは1973年に秋葉原駅前に自社ビルを新築し、免税品コーナーを開設した。売り上げも順調に伸び、2002年1月には、本店ビルの隣にビルを新築し、それを免税専門店としてオープンさせ、2008年に宝田中央通りビルとして開店させた。ところが2017年に東京国税局の税務調査により、インバウンドを装った消費税の不正還付70億円が見つかった。訪日外国人に対して900億円を販売したとしていたが、実は業者は仕入れと買戻しを繰り返していた、つまり循環取引を行っていた(かなり悪質)として重加算税を含む104億9000万円を課したと発表した。これを受けて、その日に三井住友銀行などは、本社ビルなどに根抵当権を設定し債権保全に動いた。国も税金を取らなければならないので三井住友銀行等に対して根抵当権の抹消を求める訴訟を東京地方裁判所へ提訴した。これでTMDの信用は全く失墜し以後、融資を受けることができず取引先からも見放され倒産に至った。法人税などの脱税と異なり、消費税は国民が払った、いわば「公金」である。それを横領するのは、罪が重いのである。コロナ後、またまたインバウンドが戻ってきた、この種の不正還付申告は今後も後を絶たないだろう。不正でなくても税務署は税金を戻すのを極端に嫌がる。必ず消費税還付は調べられていると思わないとだめだ。

☆ 推薦図書。
岡本裕一朗著 「哲学100の基本」 東洋経済新報社 1980円
久しぶりにアカデミックな知識を求めた。デカルトやニーチェ、プラトンなど10代のころに読んだ記憶が蘇る。まず哲学とは何か、これは答えが様々で定義するのは難しいだろう。
プラトンは正義が「支配者階級の利益」に他ならないとする。ニーチェは道徳が弱者の妬みから生じているとする。弱者たちは力で強者に勝てないので、別の側面から引きずり降ろそうとする。「あいつは傲慢」だと悪口をいうのだ。弱者が善人になって、強者は悪人になって「道徳」が生み出される。道徳は、弱者たちの自己正当化するための道具でしかありえない。またフロイトによると、人生の目的は「幸福」であり、人は幸せになるために快楽を求め努力をし、他方で不快を避けようとする。しかい人生、快を覚える状況はごくわずかの間しか享受できないものだ。ところが不幸を経験するのは、はるかにたやすいことなのである。ドイツの哲学者フォイエルバッハは「神が人間を作ったのではなく、人間が神を作った」
この本は歴史上の哲学者を著者独特の解釈で要約したもので、読んで面白かった。

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