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アメリカの国境問題と中国人不法移民の増加

パンデミック後、アメリカは国境封鎖を解除して以降、メキシコ国境から亡命を求める移民希望者で混乱が続き、あまり報道されていないがテキサス、カリフォルニア州国境では異常事態となっている。キャリフォルニア州サンディエゴ周辺国境では、最近中国からの中国人不法移民数が異常に多く、かつ伸びていると報道している。勿論、中南米の国々の不法移民が中心ではあるが、中国からこれだけ多くなだれ込むのには驚く。スペイン語を話す国境警備隊は多くいるが、中国語の出来る隊員は少なく、混乱に拍車をかけている。
先日の共和党大統領候補の討論会でも、候補者は口を揃えて、我が国は不法移民に乗っ取られている、この侵略を止める為、国境に壁を増やす、国境を封鎖するとも言っており、その深刻さが伺える。現に、共和党のフロリダ州知事やテキサス州知事は、移民に寛容なカリフォルニア州やニューヨーク州に対して、不法移民を捕まえた直後バスに乗せLAやNYに送り付けている。不法移民に寛容であれば自分たちの留置場で面倒をみろということだ。
今まで中南米の不法移民が殆どだったが、ここに来て中国人の増加にはアメリカ政府も驚いているわけだが、彼らは、中国でのソーシャルアプリWeChatを使い、案内役と交信をして、きめ細かにアメリカ国境までの指南をしているようである。彼らはどうも中国から観光ビザの必要のないエクアドルに飛行機で行き、そこから、蛇や盗賊が多くいるジャングルを通リ、更にはコロンビアとパナマの間にはDarien Gapと呼ばれる北アメリカ大陸と南アメリカ大陸を挟む大きな地峡があり、この沼地や川を命懸けで渡ることになる。
メキシコとアメリカ国境に到達までの密入国の相場は、中国人の場合一人35000ドル(500万円)とされているようだ。今年に入り9月までの中国人不法移民の数は1万5000人以上に上り、更に10月には4000人以上が捉えられているので、その数は増加の一途を辿っている。ただ、中南米の不法移民と違い、捉えられるのは男性の独り者で、子供までは来ていないようである。先日も共和党上院はウクライナ・イスラエル宛支援金1105億ドルを否決した。共和党は、亡命者のスクリーニングの強化、留置場の拡充、またバイデン政権は人道上の理由による臨時入国許可(Humanitarian Parole)を連発していたが、この制限を行うよう要求している。このままいくと月末までにウクライナの戦闘資金は底をつくとホワイトハウスは言っている。アメリカの移民法政策は、なぜか正面玄関から入ろうとすると非常に難しいわけだが、南のボーダーの裏口からは、スイスイと入れるというおかしな政策でもある。確かに、国境は国家安全保障に結び付く問題なので、共和党の要求ももっともで、一理あると思われるが、習近平独裁国家の恐ろしさが、垣間見える。

☆ 推薦図書。
小林泰明著 「国家は巨大ITに勝てるのか」 新潮社 924円
「アプリストア開放義務 アップルに政府巨大IT規制」と読売新聞は報じた。つまりアップルが独占するiPhoneのアプリストア「アップストア」、そこに他社が参入できるように開放しないといけない事を義務付ける、というもの。アップルなどGAFAはある程度の国家を凌ぐ力をもつ。アップルなどは国家と同程度の力を持っていると自尊している。規制導入する日本政府に対しても反対して政府の規制案に対して、公然と批判している。アマゾンは政府や企業のデータを管理するクラウド事業を営み、自社の利益のためには国を訴えることもあり得る。実際、アメリカ国防省や英国MI6と諜報機関の契約を締結している。GAFAはアメリカ政府の政策決定に影響を与えるロビー活動に多額の経費を使っている。しかも中国がIT市場を制覇すると恐怖を駆り立てている、GAFAの都合良い理屈だ。著者は、今後世界のリスクは巨大IT企業を中心とする世界になる。これらを取り締まる国家の法整備はますます難しくなると。

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