地域別の相続税額、金持ち地域と貧乏地域が鮮明になった。令和4年の1年間に亡くなった日本人は156万9050人だそうで、そのうち相続税がかかる財産を残した人は、13万4275人と国税庁が公表した。前年度から1万6583人増えた。10年前までは相続税がかかる財産を残した人は4~5万人だったことを思えば隔世の感がある。平成27年(2015年)から基礎控除が引き下げられたのに伴い、相続税納税者は極端に増加したのである。今回の公表では課税割合は9.6%つまり10人に1人が相続税の対象となる財産を残して亡くなった。これが全国平均である。人生100年時代に突入したので高齢化により亡くなる人が毎年増加している。
課税割合9.6%といっても全国平均であるので、地域、地方。都市によって差がある。
課税割合が5%以下の地域は青森県(3.1%)岩手県(4.7%)秋田県3.0%)
宮崎県(3.9%)長崎県(4.0%)熊本県(5.0%)大分県(4.7%)鹿児島県(4.0%)である。一方課税割合が最も高いのが東京都の18.7%、次いで愛知県が15.1%神奈川県14.3%の順になっている。これからわかるように人口が多い地域で課税割合が高いのは、相続税収の大半を、国は人口密集地から得ているのである。ちなみに課税対象となる被相続人の数であるが、東京都は断トツの2万6008人、次いで神奈川県1万4127人、愛知県1万2292人、大阪府1万89人とくる。これらの地域においては相続税の課税割合だけが高いのではない。所得水準がそもそも高いのである。今は廃止されたが、かつて高額納税者番付なるものが存在していたころは、全国の高額所得者の長者番付の上位はほとんどこれらの地域が占めていた。この長者番付に掲載されていた方々が高齢で亡くなってきているのである。さらに言えば相続税課税割合が高いのは人口密集地である。したがって土地の価格が高いのである。課税割合5%以下の地域を見ると、東北地方と九州地方だけである。北海道も課税割合が5.1%だがこれは札幌の中心地が押し上げている。都心部の居住者は羨ましく思うが、これらの地域の住宅地の値段は1坪10万円台で買えるところばかりである。都心部では家一軒残すと相続税の課税対象となる、青山・赤坂あたりのマンションでは50平方メートルのマンション1戸でも対象になる。
年間所得が4000万円を超えると55%の税金であるが、彼らはそれだけにとどまらず死んでからでも高額の相続税を払わされるのである。サミット参加国での富裕層重税感が最も高い国とされている。名誉か?
☆ 推薦図書。
樋口恵子×和田秀樹著 「うまく老いる」講談社α新書 900円プラス税
樋口恵子氏は数々の審議委員を経た東京家政大学名誉教授で91歳、和田秀樹氏は超有名な精神科医で63歳。私もこのブログで数冊紹介した。この本は高齢者向けで65歳以上の方が読めば、なるほどと腑に落ちる話が多い。実際の寿命と健康寿命は10歳ぐらい差があるが、健康寿命の図り方は老人のアンケートによると知って驚いた。国民健康保険協会は要介護2未満を境とすると差が1か1.5歳しかないようだ。老化現象の最たるは「足腰」や「記憶力」の衰えと考えがちだが、そうではない「意欲」であるとしている。サボっている方が楽ちんだと思い始めたら、それが老化現象の始まりである。運動も嫌だ、頭を使うのもだるい、人と会うのも、遊びに行くのも、ましてや仕事するのもだるいとなって、何もしなくなると、老化は一気に進む。「意欲」は死ぬまで枯らさない。先の不安より、今を生きよう、楽しもう、91歳の女子のボケない生き方も参考になる。