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「年末調整」廃止を訴える、河野太郎総裁候補

日本のサラリーマン経験者ならだれでもが経験する「年末調整」。それに、給与所入の源泉徴収票の会社からの交付、定年を迎え退職金が出ると退職金の源泉徴収票をもらう。すべて社員の給料は会社内で税金の問題は完結するしくみ。
この方式は先進国では日本だけだろう。
アメリカをはじめ欧米諸国は、所得がある者はすべて税務署に確定申告書を提出する。会社に提出するのではない。そもそも「年末調整」なるものは税務署が本来行うべき仕事を、会社が代わってするのである。つまり民間の雇用主が無料で社員の確定申告の作業を行うのであるから、国にとっては税金を使うことなく民間人を使う仕組みで、国から見ればよくできた制度と言える。これが何十年も当たり前のように、毎年末に何千万という人の税金の計算、納税を民間が行ってきたのであるが、何故、諸外国は日本を見習って「年末調整」なる制度を導入しないのだろうか、答えは簡単である。個人のプライバシーに大きくかかわるからである。「年末調整」を行うには給料を受け取る者の。住所、生年月日、配偶者、扶養者の名前、生年月日、これらの者が障害者かどうか、そして本人の生命保険の掛け金、損害保険料や火災保険の掛け金、住宅ローンがあればその明細などなどを会社に提出しなければならない。しかし欧米ではこれらは禁止事項である。守秘義務のない会社の総務課や人事課に、これらの書類を提出することによって、その者が独身であるかはもとより、奥さんがいるのか、最近離婚したのか、子供が身体障害者であるのか、すぐわかる。「○○君は結婚したのよ」「離婚したのよ」「子供が生まれたのよ」とかの社員間の話題や、酒の肴にされることもある。欧米ではこれらの個人情報を絶対出さない。たとえ職場上、知り得たことでも仲間に知らせれば罪に問われることもある。個人の社員情報を、例え、住所や生年月日、でも知ってはいけないのであるが、日本は垂れ流しである。個人情報はマスコミを含め全く国際的に超後進国である。
そもそも欧米では入社時に、どこに住んで、扶養者がいるのかどうかを聞く会社などない。それらの情報は確定申告によって、守秘義務を法的に保証されている税務職員にしか知らさないのである。
このほど河野太郎デジタル担当大臣は自民党総裁選で掲げる政策を発表したが、その中に「年末調整を廃止し、自動入力される確定申告に一本化」がある。遅ればせながら、やっと政治家がこの「年末調整」にメスを入れたのである。個人プライバシーの鎖国国家も少しずつではあるが開国に向かってほしいと願うばかりである。

☆ 推薦図書。
和田秀樹著 「本当の人生」 PHP新書  1100円
今や著名医師が人生後半は思い通りに生きると題して、人生を謳歌する勇気が湧いてくる本としている。本当の自分が戻って、生きたいように生きる。それにはどうしたら良いのかであるが、著者はドナルド・ウッズ・ウイニコットという小児科の名医として知られ、多くの子供の病気を治癒したことで世界的に有名で、子供やその親を観察する中で実践的な理論を生み出した医師で、その訳本も多く、特に彼の研究者で翻訳家は九州大学名誉教授の北山修(元フォークシンガー)である。この理論は人間には「本当の自己(True Self)」と「偽りの自己(False Self)」があり「本当の自己」というのは赤ちゃんが生まれた時から、誰に遠慮することもなく、泣き、腹が減ればお乳をねだる。我がまま勝ってに存在し続ける現象。「偽りの自己」とは赤ちゃんのような振る舞いが出来なくなって、周囲の環境に迎合し、適応するために、我慢をする、社会に合わせるために同調して生きることである。「偽りの自己」で我慢してきた社会生活を終え、つまり定年を迎え、第2の人生は「本当の自己」で生きるべきだとする、それが「本当の人生」であるとしている。

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