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大谷選手の50号ホームランボールの行方とアメリカの税金

先日大谷選手の50号ホームランボールがオークションにかけられ、439万2000ドル(3.6万ドル+22%オークション会社手数料)日本円で6.6億円で落札されたというニュースが日米で放送された。これは、20年前にMark McGwireの70号ホームランボールが300万5000ドルでオークションにて落札された時の記録を大きく上回った。オークションサイトによると大谷の50号ボールには、0.9%の保険料と送料19ドルはかかると記載されていた。送料無料ではないところが笑えるが、ニューヨークタイムズなどによると、実際は台湾の会社が落札し、アメリカに来てボールを受け取るようである。
このオークションは9月27日から行われ、50万ドルからスタートし、44のビッドが入り、最後の2日間で210万ドル、更に最後の3分で220万ドルから230万ドルとなり時間延長され、320万ドル更には360万ドルで落札され、10月22日太平洋標準時午後9時26分に終了したとアメリカのメディアは全世界に伝えた。既定の時間より2時間半延長され、白熱のオークションだったと報道された。
白熱しているのはオークションだけでなく、このボールの持ち主たち。持ち主たちというのは、今はまだ一人ではなく、自分が持ち主だと3人が訴訟を行っている状況だ。実際のボールを掴んで離さなかったのは、Chris Belanski氏だが、彼に力ずくでボールを奪い取られたと主張しているのが18歳のMax Matus氏、更に、最初にボールを掴んだのは自分だが、手すりを超えてジャンプしてきたファンに圧迫され、ボールが手から離れたと主張しているのがJoseph Davidov氏である。持ち主が定まっていないが、裁判所はオークションを実行してもよいとし、今回のオークションが行われた。(日本では考えられないが)
MLB(アメリカ大リーグ)ではボールを取ったものがそのボールの持ち主になるという規定があり、ドジャースはある金額を提示しBelanski氏にボールを球団に渡すよう交渉したようであるが、Belanski氏はオークションにかけたほうが儲かると判断し、球団には渡さなかったようだ。今回の金額からすると、例え3等分したとしても一人150万ドル(2.3億円)弱になる。しかし、それは手取りではなくアメリカでは容赦なく税金が追っかけてくる。つまり連邦税37%、もしカリフォルニア在住であれば、州税の最高税率13.3%がかかるので税率50.3%つまり、手取りは74万500ドル(1億1000万円)になる計算だ。半分以上が税金にもって行かれる。これには私も節税対策の打ちようがない。
また今回の弁護士料がどうなっているのかわからないが、日本では、この訴訟にかかった弁護士費用は必要経費として所得から控除されるが、アメリカはそうではない。最近の法改正で所得控除が難しくなっている。例えば40%の成功報酬だとして、直接40%が弁護士事務所に支払われたとしても、原告は100%の金額を受け取ったとカウントされ課税される場合が多い、弁護士費用の支払い方法などチェックをしないといけない。高額の弁護士費用が控除できるかどうかも大きな問題なので、この際、どのような弁護士報酬の支払い方をすれば、大きく所得から控除できるのかどうか、多分裁判所の判断によるだろうが、ドジャースファンのみならず大リーグファンで一獲千金を狙うファンに対する裁判所の必要経費のあり方の判断が楽しみである。(こういう面白いことも日本のメディアは日本で伝えるべきだと思うのだが)

☆ 推薦図書。
米山公啓著 「80歳でもほどよく幸せな人は こういうふうに考えている」アルファポリス 1540円
著者は脳神経内科医の先生で70歳である。「長生きしても幸せじゃない」そう考える日本人、けっこう多い。若さを維持するためにどうすればいいのか、ボケないためにどうすればいいのか、基準値まで血圧を下げるにはどうすればいいのか、そうしたことに心を砕くあまり、幸福でない人生を送っている人がいかに多い事か、つまり現代の医学の方向が、高齢者の幸福を作り出すほうに向いていないのである。100歳時代に突入する現代、80歳はある種の節目になる。この本は80歳を迎えても、どうすれば幸せでいられるかを医学的に解説しているが、例えば夫婦仲、仲良し夫婦は、ある種の幻想であると言っている。仲良しに見えても「合わない」。これは人間歳をとるほど、その人の本来の性格が強く出るようになってしまうからである。遺伝子の影響は若い時よりも、年を取るほど強く出る。以前は優しかったのに、今は怒りぽくなった。対処法は、孤独にならないで人との交流が一番の防波堤だという。そして何事も「そうかそうか」と否定しないように生きなければならないと。

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