あけましておめでとうございます。今年最初のブログですが、昨年の今は能登半島地震で、今年は我がオフィスがあるロサンゼルスの山火事です。実は大変なことになっていて死者こそ能登半島地震より少ないが、焼けた住宅は1一万戸以上になり、アメリカの史上最大の火災被害だと言われている、30万人以上に避難命令が出されており、今までにない大規模火災が今なお続いている。その被害金額は500億ドル(7兆円)ともいわれている。最初は3か所から始まり現在は5か所、1か所は放火との報道もある。いずれにしても報道を見ると、私は現地のイメージを持っているので、あの人は大丈夫かと心配して、連絡が付けば正直ほっとする。その報道によれば、最初の3か所は、Pacific Palisades、Pasadena近郊、 San Fernando Valley でいずれも弊社事務所のあるトーランスからは30-50マイル(50-80キロメートル)ほど離れた場所だが、外に出ると灰が舞い落ち、焦げた臭いがし、景色が茶色に見え、太陽も煙に遮断され異様な雰囲気だと我が事務所の所長が言う。所長は「火災現場では強風で火の粉があらゆるところに飛ばされる。火の粉というより野球のボールよりも大きい火の玉が風にのり拡散されます。周りの家は次々に焼けていきます。実際ニュースで見る現場は焼け野原で戦争によるミサイル攻撃で破壊された街のような光景です。
Pasadena近郊の火災では、略奪が起こり20名以上が逮捕され、本日より午後6時から午前6時まで野外外出禁止命令が出されています。また既に州兵が派遣され治安活動にあたる見込みです。Pacific Palisadesの住宅は平均価格が4百万ドル(6億円)以上の富裕層が住む地域で、家を失った富裕層はベバリーヒルズホテル、フォーシーズン、ペニュンシラ等の高級ホテルに移り住み当分は予約で一杯だと報道があります。
これらの火災地域では、電気、ガス、水道水は止められています。専門家は、焼かれた家から出てくる煙には有害な化学物質が含まれており、PM2.5のような微小粒子も浮遊しており、家では空気洗浄機や車の中では外の空気を入れないよう設定するよう注意を促しています。
ロサンゼルス郡の固定資産税評価を行う評価局の局長があるニュースに出ており、これらの火災被害を受けた家の固定資産税はどうなるのかという質問を受けていました。局長は、もし建物が火災で全壊しているのであれば、土地のみに対して固定資産税負担とするような軽減措置を直ぐに行うと言っていました。また、ロサンゼルス郡の評価者は700名ほどいるそうで、総動員をして、火災被害者の家のモニタリングを行うとも言っておりました。よく考えますとロサンゼルス郡の最近の固定資産税評価は中古住宅では、土地の割合が高く、家を失った人からすれば、軽減措置を受けても重い負担になることでしょう。」
もともとロサンゼルス郡の固定資産税の評価方法の詳細は謎に包まれている。日本人でロサンゼルスで不動産物件を所有している人の相続税評価額の算定に国税当局はロサンジェルス市の固定資産税評価額を使うが、これがナンセンスなのは、アメリカ人なら常識だが、日本の固定資産税評価額の算定方法と全く異なるのだ。実際、ロサンゼルスで不動産物件を購入すると、評価局の評価者が来て実査を行い、土地建物の評価をするのではなく、中古物件であればほぼ建物20-30%、土地70-80%となる。アメリカでは宅地と家屋を分けて評価するのには意味がなく、一軒家でいくら固定資産税(購入価格の約1.2%)を徴収するのかが問題なため、宅地がいくらで家屋がいくらは考えないのである。日本は一軒家を買うと、中古住宅を取り壊し、新築することが多いがアメリカにはそれがない。私の経験だが、日本人所有の家屋の評価をする場合、現地の不動産鑑定評価業者に依頼し、実際に立て直すといくらになるのかというコストアプローチで評価をしてもらうと建物の評価割合は大きくなる。これは資材、人件費が上がっているので当然である。(アメリカに不動産を持つ日本人はそのようにすれば節税になる。)ロサンゼルスにはこのように柔軟に評価をして被災者の固定資産税負担軽減に尽力をしてもらいたいと思う。
☆ 推薦図書。
酒井順子著 「老いを読む 老いを書く」 講談社現代新書 960円+税
書店では平積みになっている本の80%は高齢の著者による高齢をテーマとしたエッセイで、いわゆる「老い本」佐藤愛子、樋口恵子、五木寛之、曽野綾子・・・といった「老い本」界のスター著者達の本がずらりと並ぶのだ。老い本ブームは一過性のものではなかろう。この本の中で黒柳徹子が登場するが2023年に「続 窓際のトットちゃん」が出版された。著者が期待したのは「とうとう徹子さんも老い本を出されるのか」だったが、本を読んでみると全くもって「老い本」ではなかった。1976年に始まった「徹子の部屋」は48年続いている。かねて50年は続けたいと思っていたが、最近は100歳まで続けたいと思うようになった。彼女の意欲は全く枯れておらず、「続 窓際のトットちゃん」も主人公が30代後半でニューヨーク留学へと旅立つ、で終わっている、著者の感想は「老い本を書かない人は、違う」である。