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トランプ劇場第二幕 その2(日本で報道されないこと)

トランプ政権はテスラのElon Musk氏の主導の元、連邦政府機関に対し大刷新するとして、約200万の職員に辞めるかクビになるか、2月6日までにどちらかを選べというレターを送付。これに対し、各地の裁判所で訴訟が起こされ、一時的に延期となっている。しかし、既に6万人の公務員職員が辞職する意思を示しており、連邦政府機関は混乱を極めているとワシントンポストなどが報道している。
更にMusk氏はSocial Security の廃止を唱え、また財務省に対しアメリカ国民の個人情報へのアクセスを要求し、更にヒトラー式の敬礼などを行い、大きな批判を受ける一方、トランプ氏の側近であるSteve Banon氏とも移民問題で衝突するなど、トランプ政権内での揉め事も多く、どこまでドランプ大統領が言ったことを実行出来るのかは不透明になってきた。
トランプ政権は、最近凶悪な罪を犯した不法移民に対しては、彼らの国へ強制送還するのではなく、キューバのグアンタナモにある米軍の軍事施設に送るとトランプ大統領は発言している。ここは9/11後、多くのアルカイダが収容され拷問を受けていた有名な場所で、約3万人を収容できるところである。今回、トランプ大統領は彼らの国へ強制送還したとしても、すぐにアメリカに戻ってくる、彼らの国は信用できない、彼らのようなアニマルはグアンタナモで余生を送るしかないとして、既に数百人を送還している。今後ますます増えるだろう。
そして、数日前にはルビオ国務長官がエルサルバドルを訪れ、Bukele大統領と会談の中で、大統領は、エルサルバドルにアメリカで罪を犯したいかなる国籍の不法移民またはアメリカ人をも収容してもよいと、ルビオ国務長官に伝えた。これは画期的なことだ。日本では、あまり知られていないが、エルサルバドルという国は、かつて犯罪が多発し無法状態国であったが、このBukele大統領就任以降、ギャング等の犯罪組織は司法手続きを経ずに逮捕、収容しており、人口わずか640万人ほどの小さな国だが、57人に1人(11万人)は刑務所に収容されている。結果、国に治安が戻り、経済も回復し国民は喜んでいるようである。どこまで法的に許されるのか不透明だが、トランプ大統領はこのオファーを真剣に考えている。因みにエルサルバドルの刑務所は囚人であふれ、足の踏み場もないタコ部屋状態と言われているが、アメリカが増設するのだろうか。
トランプ政権は、移民に対して厳しい姿勢で臨んでいるが、税務、特に相続税ではアメリカは差別している。市民権を持たないアメリカ居住者は、不利に取り扱われている。アメリカ税法ではアメリカ市民権者間の夫婦では、資産の贈与・相続には無制限に配偶者控除が認められて、つまり夫婦間の相続や贈与ではいくらしても税金がかからないが、一方がアメリカ市民でない場合、配偶者控除は、無制限ではない。ゆえに、故人の相続非課税枠13,990,000ドル=21億円(2025年)を使う必要があるが、日本の相続税基礎控除4800万円とは比べ物にならない。更に、市民権者ではない配偶者への年間贈与の非課税枠は19000ドル(300万円)で、無制限ではない。日本人のグリーンカードホルダーなどはアメリカ市民権者同様の取り扱いをうけられるように願っている、市民権者の配偶者が死亡した場合、この非課税枠を使わずに相続税を繰り延べ出来る仕組みとしてQDOT(Qualified Domestic Trust )QDOTと呼ばれる有名な信託(詳細は省く)が利用されている。これもグリーンカードホルダーが活用できるのか、今後トランプ大統領は、相続税などの大減税を行うことを匂わせているが、一方でこのようなトラストがどう扱われるのか、グリーンカードホルダーへの不利な税法の扱いが更に厳しくなるのか、無くなるのか、注目されている。

☆ 推薦図書。
小泉信一著 「スターの臨終」 新潮新書 940円+税
この本の出版は今年1月20日であるが、著者は昨年10月がんで亡くなっている。元朝日新聞記者である。山田洋次監督は「新聞記者にとって人の死を報じることは仕事である、小泉信一さんは語っている。30人の死をしみじみと語り終えて、小泉さんは63歳の幕を閉じた。見事な人生だった」と語った。本書の内容は「板橋のドブ」で死ぬのが理想だと語った渥美清、余命1年を宣告されても女優への執念を絶やさなかった川島なお美、葬儀で「幸せな人生だった」と自らの声で語ったキャンディーズの田中好子。舌癌で入院中も冗談を飛ばしたケーシー高峰。時代を彩ったスターたちは死を目前にして、何を思い、生きたのか、大原麗子、八千草薫、夏目雅子、笠置シズ子、淡谷のり子、島倉千代子、八代亜紀、志村けん、などのエピソードを交えて、著者もがんと闘い続けた「死に際」の物語である。

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