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アメリカ・トランプ政権の25%関税と移民政策に激震

ランプ大統領による同盟国を巻き込んだ関税政策は、日本でも報道の通り、25%課税で上を下への大騒ぎになっていて、今後の日本経済を心配する声が満ちている、日本では報道されていないが、ウオールストリートジャーナル(WSJ)はアメリカの関税の歴史に関する動画を上げていた。トランプ氏は昨年の大統領選運動では、第25代大統領William MacKinleyを例にとり、彼を見習えば、国を豊かにすると盛んに叫んでいた。WSJの動画では、MacKinley大統領の関税政策は、最初は確かに貿易収支が黒字になったが、インフレが異常に高まり、途中で関税政策を諦めたとある。そして最後は無残にも暗殺された。それなのになぜ、トランプは関税にこだわるのか理解に苦しむと書いてある。
このように急激にMAGA運動の一環として関税を推し進めるトランプ政権だが、一方で、日本の報道にも強く出ている移民政策である。WSJによると、最近の大統領令では、移民に対する登録制度を創設するとしている。これは14歳以上の移民は全て指紋と住所等の個人情報を登録しなければならないというもので、これに従わないものは5000ドルの罰金及び6か月の刑罰に処するという刑事罰である。現在の法律では、アメリカでの不法滞在は民事犯罪であり、拘束や国外退去は強制出来るものの、刑事犯罪としては取り扱われない。
アメリカでは、実は、このような移民の登録制度は1940年に法制化されている。この当時は共産党員を炙り出す為に作られた制度で、アメリカ政府はテレビの広告で全ての移民に登録を呼びかけていたそうであるが、1960年代に入り、あまり効果がなく、コストもかかることからこの登録制度は取りやめた。当時はグリーンカードホルダー永住権保持者、ビザ滞在者から不法移民まで全ての移民が対象であったが、今回は既に指紋登録を済ませ合法的に滞在している者、つまりグリーンカードホルダーなどは対象外となっている。
このような登録制度を設けることで、トランプ政権は登録すれば不法滞在者の居場所がわかり、登録しなければ刑事犯罪者として取り扱うことが出来るということで一石二鳥と考えている。但し、不法移民者といえども様々な種類があり、国境を越えて不法に入国した者、ビサ滞在期間を超えてオーバーステイしている者、子供の頃、親に連れられ不法入国した者といろいろである。不法滞在者でも、アメリカで所得があれば税金の申告・納税義務がある。Social Security Number(SSN)は取得出来ないが、Individual Tax Identification Number(ITIN)は取得出来る、日本語で言えば納税者番号だ。不法滞在者でも、将来永住権の取得を考えている者は過去の納税履歴を必ず問われるので、確定申告だけは行っている。IRSは移民局とは情報を共有しないと言っているものの、トランプ政権により今後どうなるかわからない。不法移民でも多くの者がよく働き、消費活動を行い、税金を納めているが、アメリカでの居場所が益々狭くなってきている。白人が農作業や道路工事をしているのを見たことがないが、不法移民を締め出すことで誰がそのような労働をするのだろうか。

☆ 推薦図書。
三木義一著 「まさかの税金」 ちくま新書  1012円
著者は弁護士で税法学の青山学院大学名誉教授である。この本の副題として、騙されないための大人の知識。とある。「様々なテーマで皆さんが勘違いしていそうな点や、知らないと思われる点についてやや詳細に触れるようにして、少しでも税を見る目が代わってくれることを期待して本にした」と述べている。税は庶民がせっせと働いてまじめに納めている税金、その使い道を決める議員がズルをするのは許せない。政党や政治団体の収入は公益目的のためのものであるので非課税だと議員はいっている、従ってパーティー券収入も非課税扱いにしている。これは国税庁と国会議員が結託したものだ。百歩譲っても、政治団体が非課税で受け取っても、それを個人に渡していたら、これはもう立派な個人の所得である。この本は議員を助け、庶民を欺く国税庁を中心に書かれた面白い本である。

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