上場会社の株式配当は昨年まで10%の分離課税で済んでいたが、平成26年からは20%の分離課税となり、配当所得の手取額が少なくなる。長い間、10%の源泉であったので、手取りが少なくなると実感がするのは配当金を受領する今年6月末あたりからであろう。
また、日本の非居住者と外国法人が受取る上場株式等の配当に係る所得税の源泉徴収税率が昨年は7%であったのが、本年から一挙に15%に引き上げられた(租税特別措置法9条の3)。昨年中は復興特別税込みでも7.147%であって、配当に係る租税条約の限度額の限度税率10%未満であったことなども問題がなかったが、本年から復興特別所得税込みで15.315%となったことから、条約適用届出書を必要とすることになった。このことから外国人が日本の上場株式を取得して配当を得た場合は、
(1) 特別届出書を税務署に提出し、「租税条約の名称」及び「源泉徴収義務者の名称等」をそれに記載する。
(2) 個別の配当に関する事項は、別途非居住者等から源泉徴収義務者に対して通知する。
(3) 源泉徴収義務者は、通知を受けた事項等を光ディスク等により所轄税務署に提出する
とある。
外国人は思うであろう。何故、日本株式を取得したら、このような面倒な手続きをしなければならないのか。今年6月以降、煩雑な事務処理である。例えば、外国人がアメリカで株式を買っても、預けている証券会社からのステートメントを見るだけである。配当があれば確定申告書にそれをプラスするだけである。東京証券取引所の売買の7割は外国人である。もっと日本の株式を長期保有するのを望むなら、申告や手続の簡素化を行わないと、それこそ外国に見捨てられるのではなかろうか。
☆ 推薦図書 ☆
西田昌司著 『総理への直言』 イースト新書 966円
著者は現参議院議員。民主党によって損なわれた国、特にJALの再上場への大きな疑問がある。JAL破たんで株式は紙くずになり、債権者の持つ5215億円の借金が棒引きになった一方、企業再生支援機構が3500億円の出資をし、本来なら中小企業を支援する機構が、大会社JALと、京セラの関連会社ウィルコムに金融支援を行った。そしてANAとは比べものにならない特典を与えて、法人税も払わずに済むなどの措置を講じて再上場させた。儲かったのは誰なのか。鳩山、菅首相のもとに行われた再建は何だったのか?JAL神話のウソに鋭く迫る。その他、第二次世界大戦、イラク戦争も共通点があり、アメリカに追随しない国の末路を詳しく説明している。一考に価する本である。