日本のサラリーマンは地位が上がるにつれ、有給休暇を消化している者は少ないそうである。平均年5日とか。アメリカでは10日、但し、日本の場合は祝日がアメリカの2倍以上であるので、あまり比較にならない。日米で大きな差があるのは、未使用の有給休暇日数については、その社員が退職する時に現金化することを法で定めている。これはオーストラリア等、かなりの国でそうなっている。
つい先日、アメリカ東部を襲ったハリケーンのサンディは多くの被害をもたらした。東日本大震災もそうであったように、多くの寄附が寄せられている。そこでIRS(国税庁)は、社員の未使用有給休暇分をハリケーンサンディ被害者に寄附できる特別措置を発表した。まず会社は、このプログラムに参加することをIRSに登録する。社員は未使用有給休暇日数を会社に献上し、それを会社が寄附するということになる。
こうすることにより、社員は寄附した金額を給与から引くことで、所得税・住民税が低くなる。また、わざわざ小切手を切ったり、申告をしないで済む。会社にとっても、社員が寄附した未使用有給休暇分についても社員給与として税額控除ができる。通常の寄附には税法上の限度額があるので、これは会社にとっても得になる。
この特別措置は2014年1月1日まで有効となっていて、オバマ税制でSocial Security Taxが2%戻って、元の6.2%、またメディケアも1.45%から2.35%と増えるのでより効果がある。
東日本大震災への寄附制度から見ると、いかにも斬新に映る。
☆ 推薦図書 ☆
早野透著 『田中角栄~戦後日本の悲しき自画像~』 中公新書 987円田中角栄についての著作本は掃いて捨てるほどある。この著者は類まれな政治家に実際、一番近かったジャーナリストである。したがって他の著にはない、角栄の逸話がふんだんに散りばめられているが、副題にあるように政治家としての栄光も悲惨も群を抜いている。道路と郵政を操り、官僚、政治家を自由に動かしたカリスマ。メディアを巧妙に動し、最後はメディアで破滅した角栄の、ひと味もふた味も異なった評伝である。