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日本人の外国籍利用による贈与税回避を封じる

☆ 今週の推薦図書 ☆

小山進著 『丁寧を武器にする』 祥伝社 1,575円
パティシエ エス コヤマは開店して9年になるケーキ屋で、目玉は1本1,260円の「小山ロール」である。今までの最高は、1日で1600本の売上である。
兵庫県三田市という片田舎にあるケーキ屋「エス コヤマ」。エス(es)は無意識の欲求を意味し、無性に食べたくなる、まさに人が無意識に食べたくなる一品であり続けたいという、小山氏の決意が込められている。ひとつの商品を深く掘り下げて考えることで基礎力がつく。その基礎力は「丁寧な力」である。どんな仕事でも丁寧な心こそ仕事の基礎力である。それを身につけたら、接客時も小さなことに目を配れるようになる。小さいことをおろそかにする者は、必ず大きなこともおろそかにする。
現在は全てが足りている。リサーチやマーケティングは今や過去のものである。この時代に必要なのはニュースが絶えない店づくりである。年中ニュースを配信し続ければ、お客はまたその店に行きたくなるものである。人がいいと思う過去の基準を捨てることである。

 

2000年までは日本の国外にある財産を外国居住の日本人に贈与しても、日本の贈与税はかからなかった。これを利用して1600億円もの株式を香港在住の息子に贈与した有名な「武富士事件」。それは1999年12月に行われた。最高裁までもつれ込んだが結果、国税庁は敗れ、武富士側が勝った。

その後、税法が改正され、例え、外国居住、日本非居住者であっても、日本国籍を保有している者であれば、原則として日本の贈与税はかかるようになった。そのため、この方法は半ば封印されたかになった。

しかし世界の趨勢に逆行するかのように、日本の相続税、贈与税は富裕者にますます厳しいものになってきた。それならばと日本国籍を捨ててまでも、日本の贈与税を免れようとする輩が出始めた。

アメリカは国籍を取得するのに、何も両親がアメリカ人である必要はない。アメリカで生まれれば、両親はどこの国の者であってもかまわない。自動的に、出生した子にアメリカ籍が与えられる。

これを利用した事件が一昨年起こった。名古屋の出版大手、中央出版の会長が長男の子(孫)が生まれることを知って、出産をアメリカで行い、産後間もない赤ちゃんに5億円のアメリカ国債を贈与したのである。しかし、この赤ちゃんの親は日本国籍を「留保しなかった」のである。つまり、この赤ちゃんはアメリカ国籍で、日本国籍なしである。国籍法によれば、この赤ちゃんは成長して20歳になれば、いつでも日本国籍は取得できる。日本の国籍法では親が日本人であれば子は日本人であるからである。

自民党税制調査会では、このような外国籍を利用した相続・贈与税回避スキームを封じ込める改正税法を検討しているが、はたして実効性があるものになるのかどうか注目である。

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